183系気動車(普通車) 最終確認時期:2009年9月

定期列車ではだいぶ影の薄くなったものの、そのツラ構えは北海道のヌシの風格を見せるスラントノーズの183系、中間にシーズン連結のお座敷調車両がつながれているカット。写真は試作車です。どうでもいいことですが、前面排障器(スカート)の下部が折れているところがポイントです。

頑強なイメージは乗っていて安心感がありますが、「オホーツク」で言うところの常紋、エンジン音と速度が比例しないのは時代の流れでしょうか。

183系気動車の普通席は幾多にして何次にも渡る改造を経て、一筋縄ではいかない様相を呈しています。めまぐるしさ度では上沼垂に負けますが、1回撮り逃すと次がなかなか巡ってこないのは北海道の方が強い印象です。何せ、1回の運用距離が半端じゃありません。

この形式は登場当初より940mmピッチでR51Cを装備して登場しています。リクライニングロックが効くので、簡易リクライニングとは呼ばないのが適切です。500番台グループが進出してきた頃より、アコモデーション改善として回転台座に蹴込みスペースを作り、ドリンクホルダーの増設やアームレストの改造による灰皿取り付けなどが進みました。リクライニングレバーを引いて、グリッ・ガツっと座面がスライドし、1段階だけ傾くその感触に古き良き(ホント?)特急列車の味わいを感じ取れます。

しかし見ての通りで、アームレストが所定位置より異様に上がりすぎ、着座すると脇が開いてしまう不自然な(疲れる)姿勢を強いられます。元々R27との物理的格差を設けることが前提にあっただけに、座面は底突き感満点、背面のフィッティングも良いとは言えません。

改座席の定番、R55とそれを積んだ500番台は好評を博し、従来のR51C装備車にも改座が行われれるようになりました。写真はR55Bにマイナーチェンジを行って改座された状態のものです。モケットは283系気動車のそれに合わせた柄になっています。

R55BはR55Aに比して地道に改良が進んでおり、腰回りを中心に全般的なボディホールディングの向上が行われています。しかし、まだレスポンス明瞭なリクライニング機構はそのままです(笑)。

「オホーツク」のグリーン車端部が業務用スペースから普通席に改造され、R55Bが鎮座しています。場合によってはいわゆる「普通車」が軒並みR51C改の可能性を孕んでいた時期、ここだけは確実にR55Bが来るので禁煙席と相まって隠れアタリ席と言えたかも知れません。

今でこそ昼行のみですが、かつて存在した夜行のオホーツクでは、ここが女性専用席に指定され、夜は男子禁制の園になっていました(笑)。

国鉄末期に登場した貫通扉のあるグループ。500番台・1500番台(両者の差は機関出力だったか、電源有無だったか?無知です)とありますが…その後、エンジン出力・ブレーキ力の差違で派生番台が大量発生。その辺は全く疎いので、詳しいサイトで参照してください。とりあえず、4つ目ライトに重厚感と信頼感が置けてマル。

このグループの機関改造車は、その静かに凶暴な走りがつとに知られています。281系などはエンジン音と加速感がビビッドに比例する感じですが、このタイプはあまりそんな感じを受けませんが、どっこい、流れる車窓の凄さは(自主規制)。

500・1500番台グループの室内。在来線にして新幹線100系のイメージをダウンサイジングしてきた感じです。縁の付いた荷物棚やマスタードイエローのデッキ仕切扉など、そのデザインへの影響がひしひしと感じられます。

500番台は新幹線100系より後に登場し、そのアコモデーションにも100系のそれを意識した意匠が色濃く出ています。座席は940mmピッチでズラリと並ぶR55(A)、これが全国に改座で大流行した回転油圧リクライニングシート「R55」一族の出発点といえる座席趣味的に記念すべき座席です。現在、全国にあるR55ファミリーと比べると…

 ・背もたれが全般的に薄い。
 ・腰回りホールド性が悪く座ブトン薄々。
 ・全般的に底突き感ありあり。
 ・レスポンス良すぎ油圧リクライニング。

という差異(というか全般的に欠点)が見られます。

この形式で注目すべきは窓キセ部分で、框に物が置けるようになっているのは有名ですが、それらがこぼれないように手前側にマイルドな段差が設けられています。国鉄でも末期に設計された車両はこのような部分の使い勝手についてはかなりの練り混みと熟成を見せています。ささやかですが親切ですね。車端部の折り畳みテーブルの大きさもなかなかイイ感じです。

先頭運転台に面した側。左側は完全に修行席ですが、右はなかなかパノラマ席です。但し、飛散氷雪による破損防止のため、ポリカーボネートで下半分がガードされ、雑誌などで喧伝されるほどの展望アタリ席ではありません。

札幌〜稚内間の「サロベツ」仕様車、画像は在りし日の「宗谷」ですけど…。一見、他と同じに見えますが車内はこれまたガラッと異なっています。

超巨大なナナメ市松模様の床面が象徴的な「利尻・サロベツ」仕様車。昼に夜にと大活躍の車両です。

座席は見ての通りで改座済、赤・緑・青の非常に判りやすい原色模様が楽しめます。

表地が赤な座席。この時は喫煙席に充当されていました。シートピッチが「uシート」に迫る1030mmまで拡大されており、よく見ると壁際にはACコンセントがスタンバイしています。長距離・長時間乗車が多い路線らしい設備改良となっています。

定期列車普通席に於けるスペックでは、札幌〜旭川間特急座席ヒエラルキで785系uシートに次いで2番目と言えるかも知れません。 背面テーブルは耐荷重タイプかどうか微妙です。携帯電話・オーディオの充電がベストな使い方ではないでしょうか?

緑色の座席区画で。窓枠は製造当時の940mmピッチベースのまま弄られておらず、座席と連動していません。そのため、写真のようにもの凄くパノラマ席っぽい区画と、視線上にどうやっても窓枠が邪魔しに来る区画ができてしまいます。

青は自由席設定の室内。この「サロベツ」改造車の座席は、フレームがJR東海のCR66とほぼ同等のものを用いています。表地の独特の質感と、ヘッドレスト部分の張り出しの強さに北海道らしい造形が垣間見えます。シートピッチは940mm。

新世代の大出力気動車登場を受け、183系気動車についても、座席を中心として室内のリフレッシュやリニューアルを受けるものが増えてきました…が、その施工時期や事情に左右翻弄された結果、上沼垂に匹敵するバリエーション王国ができあがってしまいました。

取りあえずは、183系気動車の普通車内。天井がツルンとしており、空調吹出口が所々出ています。このプレーンな感じが売りと言えば売りですね。

283系気動車(初期投入仕様・C-R66フレーム)と同じ座席を装備したタイプ。座り心地のそれは283系と同じです。違う点と言えば振子をしないことと、エンジン振動がおとなしいこと。こっちの方がそういう意味での落ち着きを感じるくらいです。しかし、内装はビス隠しもあまりされていない183系気動車…(笑)。

フットレストがそのまま取り付けられ、940mmピッチ状態での取り回しに「♪もうどうにでもして〜」な感じになります。無いよりあった方が豪華ですが、狭いところにこれは…跳ね上げ式というのが救いですね。

281系気動車・785系電車普通席(投入当初のもの)とほぼ同等のフレームを用いたタイプです。それでもレベルを合わせるためか、フットレストは取り付けられていません。

本州の183・485系電車の改造バリエーションも大したものですが、なかなかどうして、単一地域・同一形式においてのキリの無さと法則性の無さではこちらもかなりのものかも知れません。この座席が登場した頃から、JR北海道は座席に形式付番を行わなくなりました。

R55Bの色違いバージョン。

さらにR55B色違いバージョン。だから、どーして…。

R51C、モケット部を張り替えつつも、それ以外は何となく暖色系モケット時代の風合いを残すグループ。チラリと見える壁面の木目がチラリズム。

もう、ここまでくれば、笑わせるためにやってるとしか思えません。どうにでもしてくれ、みたいな(笑)。

そして、カラーコーディネーションの方針変更があったのか、785系・789系(Sカムイ)自由席と同様のワインレッド系モケット色へと変更が行われつつあります。

283系普通席が新型座席に変更されていることもあり、それまでの座席が蹴り出されて183系に移設されてきているケースも見受けられます。ご丁寧にフットレストは撤去される芸の細かさ。

今までの座席移設と異なるのは、台座が新規モジュール品となり、足元が伸ばせるように工夫されている点です。

半室グリーン席の普通席側もこの通り。

やはり283系普通席からの移設座席が設置されています。この「地殻変動」で、相当数の183系普通席が何かしら回転油圧リクライニングシート化されたようで、R51C改を装備する車両は目に見えて減ったようです。

札帯間に負けず劣らず重要幹線の札函間「北斗」、全便振子車両にはなっておらず183系編成もチラリチラリ。尤も、大出力と血の気の多い走りで知られる番台グループですが…。

こちらは281/283系のリニューアル指定席と同等の新型座席を装備された車両がかなり目立ちます。入線した瞬間、ナナメから観ても独特のカラーと背ズリの高さで「ああ、あれ」と判るのが有り難いような楽しくないような…。

気動車は、1両単位の差し替えなどはほんの挨拶代わりのように行われるので、確実に指定席はこの車両、と言えないロシアンルーレットぶりは不変のようです(つまり、自由席でも…)。

座席自体のインプレッションは、既に283系気動車や281系気動車の項で触れてはいますが、窓枠が高めなこともあり、窓側のアームレストがしっかり使えるようになっているのは好ポイント。

しかし、ちょっと厚みがアレなヘッドレストと、背ズリ下端のフレーム処理の難はそのままなのがつくづく悔やまれるところだと思います。小糸工業の座席としては、ちょっと残念な子。

もう一つダメを出すと、背面のシートポケットにセットされる車内誌や車内販売のパンフの高さが何となく背面テーブルと干渉するのと、ポケットのアミが浅いのであっという間に車内誌がヨレヨレのボロボロ。ポケットを少し見直すだけでよいと思うのですが…。

新型座席装備車両では、2席分を荷物棚スペースとして利用できるように改造されています。南千歳乗降客向けの配慮とも取れますし、割と使っている人が多いように思われました。

ちょっと懐かしのカットを移動。

走行時間が長時間になる「オホーツク」では、先頭車自由席部分に一時期ではありますが、子供の乗車を考慮して「ちゃいるどさろん」がありました。勿論、誰が使って構わないわけで、混雑時はここが自由席難民で埋まる、というのは車掌の弁。

撮影当日は、オジサンがビールを傾けながらテレビに興じるという、そこは船の2等桟敷と見まごうシュール極まりない光景が展開されました。5時間近くを移動するわけで、そっちの方がなんか楽しそうです。

最近、指定席を中心に荷物置場が整備されつつあるところ、総じて大形のスーツケースをこれでもか、と持ち込むインバウンド客の荷物置場問題は自由席でも深刻です。

そこで編み出された解決策がコレ…こう言う苗穂の力業、キライじゃないぜ(苦笑)。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2R51C940mm
普通2R55(A)940mm
普通2R55B940mm
普通2R55C940mm
普通2付番無し(281系気動車類似)940mm
普通2付番無し(283系気動車類似)940mm
普通(サロベツ用)2付番無し(261系気動車類似・自由席)940mm
普通(サロベツ用)2付番無し(261系気動車類似・指定席)1030mm
普通2付番無し(長距離指定席向け新型)940mm