1・鉄道ピクトリアル 1993年10月号
特 集:車両の座席
発行所:鉄道図書刊行会
価 格:820円
鉄道座席を趣味の対象とするならまず押さえておきたい1冊。戦後の座席事情を中心とした論稿と写真・図表が多く盛り込まれている。国鉄時代の座席形式一覧は出色。個人的には他特集時のピクトリアルと対比して異様に薄いことに何とも言えない感情を持っている。その薄さ、「特集:列車のトイレ」並と言えばいかにマイノリティかが窺える。
戦後の座席に関するトピックのまとめ、クロスシート・ロングシート論争・趣味的座席体験のあれこれなど、まずは読んでおくべき内容が一通り揃っている。くどいが、ボリュームがあまりにも寂しい。
この特集で引用されている資料(鉄道車両工業会・刊)については、所在は確認されているものの、非公開資料扱いのため一般に見ることはできない。

2・鉄道ファン 1979年6月号
特 集:グリーン車
発行所:交友社
価 格:890円
そのものズバリ、グリーン車について形式・系譜・アコモデーション図を掲載している。中綴じのグリーン車系譜図は見物。
西欧の1等車(当時)のスペックやサーヴィスなどにも触れられているが、いくら当時をしても海外との単純比較は難しい。ましてや、戦後、その多くをアメリカ型リクライニングシートに範をなしたグリーン車とステイタスシンボル一直線の西欧長距離列車の1等では進むべき方向性が違うというモノ…。
この部分で日本がどの方向性に進むべきか、と言う座標軸に対する言及があっても良かったようであるが…まだまだ無い物ねだりの域を脱し切れていなかった、と言われれば仕方ないか…。

3・鉄道ファン 1987年3月号
特 集:国鉄グレードアップ車両
発行所:交友社
価 格:880円
国鉄末期、新幹線100系登場がブレイクスルーとなって一気に進み出した感のある在来車のアコモデーション改良。その改良実例を写真入りで紹介・解説している。
着目すべきは、この頃大流行した「疑わしきは改座」と言わんばかりの改座スペシャルの数々。ボックスシートはW12に、D21に…特急普通席も基本的にR55に…そして583系「きたぐに」のA寝台改造実例も登場している。今、このころの名残を見せる車両は極めて貴重品であり、少数派となった。改めて思い起こすのも悪くない。

4・鉄道ファン 1988年3月号
特 集:今グリーン車がおもしろい!
発行所:交友社
価 格:880円
徹頭徹尾グリーン車の写真と記事で埋め尽くされている1冊。車両毎、改造時期による微妙な差異が著しかった時期の特集だけに、今は決して見ることのできない座席もチラホラ。座席のスペック・寸法・写真が充実している。しかし、写真のトリミングに難が多すぎる。元々の撮り方も…なのがチラホラ。これが原因で資料性<ダイジェスト性という図式が描けてしまうのが残念。
隠れた見所として、183系「あずさ」DX編成の紹介の方が実は今になってみれば貴重なのかも知れない…というのは冗談にしても「三連休パス」でグリーンに乗るようになった中高生諸君には、この編成が初めて自動便座交換ユニットを採用した車両だということは…知らないかもなぁ〜。

5・鉄道ファン 1989年9月号
特 集:JR特急 気になるあれこれ
発行所:交友社
価 格:1000円
先の分がグリーン車なら、こっちは普通車スペシャルと言わんばかりの内容。編集者が実乗して座席を撮影、インプレッションをまとめている。可能な限り最新の車両についてもまとめており、現在でも相当部分の局面で活用できる1冊。
詳細な普通席のスペックシートもあり、座席形式に興味がある場合、まずこれを読んでおくことを強くお奨めしておきたい、と思える1冊。しかし、この中で登場する車両の中には既に定期運転でお目にかかれない過去帳入りも見かけるようになってしまった…。

6・鉄道ジャーナル 1986年3月号
特 集:鉄道車両のアコモデーション
発行所:鉄道ジャーナル社
価 格:780円
アコモデーション全般について概論と希望論が述べられ、比較対照は航空機とバス…解らないでもないが…。名物(?)の列車追跡シリーズはユーロライナーのコンパートメント車を連結した臨時「金星」。そのレポートに国鉄時代の料金政策のいびつさがにじみ出ている今日この頃。

7・鉄道ジャーナル 1986年9月号
特 集:魅力ある"新時代の列車"の創造
副 題:グリーン車とサロンカー・寝台車
発行所:鉄道ジャーナル社
価 格:780円
新幹線100系量産車が登場した頃の話。R27花盛り(と言うか最終爛熟期)の頃の特集。出色は国鉄1等車〜グリーン車への変化について書かれている論稿。部分的に「?」はあるにせよ、時系列でまとめられた内容は納得。
写真数は豊富なモノの、突っ込み不足は如何ともしがたいところも…。在来線グリーン席では極めて希有な設備だったにもかかわらず、キロ80のグリーン席(R23)の可動枕について、何ら言及をなさないと言うのはいただけない、というか取材時の詰めが甘い。

8・鉄道ジャーナル 2000年8月号
特 集:幹線鉄道と急勾配の明暗
発行所:鉄道ジャーナル社
価 格:900円
小特集で「グリーン車31年の移り変わり」と言う記事がある。古くからの蔵出し写真もチラホラのほか、現状のグリーン席観や将来のグリーン車像について軽く触れられている。だから何?と言われると何とも言えない。

9・鉄道ダイヤ情報 2008年1月号
特 集:いまどきのグリーン車
発行所:交通新聞社
価 格:870円
画像半端に説明半端。色々な形式のグリーン車内画像が出ているが、他人は写っているわ、ピントズレはあるわ、その座席の一番のポイントが出ていないわ、解説は間違ってるわ…と資料性という点で見るべきものがない。一番の出物が「2等車からグリーン車へ」と言う論稿だけ。

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