初期量産グループの座席はTR62Aが装備されています。300系(よりは)座り心地を良く、メンテナンスや軽量化にも配慮が図られているようです。事実、座席回転時の軽さやしっかりとした台座固定は出色の完成度と言えるでしょう。

写真は禁煙座席なので、肘掛が何とも頼りなくなっています。昔の座席では荷物の上げ下ろしで肘掛の上に大人が乗り上がることを想定した強度計算が図られていたそうですが、この座席からはその片鱗すら見えません。それこそ、肘が置ければOKと言わんばかりの仕上がりです(いや、それが本来だと思うので別にどおってコトはないにせよ…)。

デビュー当時のデモムービーでは通路幅が広がって…とありますが、車体幅が変わらないのに何もしないで通路だけが広がるわけもなく…よく見ると座席が微妙に窓側に寄っているではありませんか。限界まで窓側に寄せられているため、窓側席は壁ギリギリに座るスタイルになります。

となると、しわ寄せは勿論その辺に現れるわけで、窓キセに付けられているテーブルの無理すぎる形状がその狭さを表しています。383系普通席での失敗を繰り返してしまう辺り、JR東海の設計センスにタダ者ではないものを見せられた思いです。とりあえず、デフォルトでは窓側の肘掛は使えません。リクライニング使用が前提となるようです。

3人掛座席のTR75Aです。B席部分が両脇の2席より広いのはいつものことです。肝心の座り心地ですが、軽量化に次ぐ軽量化の要求を具現した座席でありながら、滑らないような座席生地に硬めクッションの座席は300系よりは居住性が向上していると思います。

しかし、軽量化の仇か、背面テーブルを使おうとするとどうしてもショックがダイレクトに伝わってしまうようです。背もたれ自体の剛性(と言うかリクライニング装置のこらえ性)がヤワ目になっており、ちょっとした可減速ショックで座席がグラッと揺れるのはマイナスポイントですね。

C1編成(試作車)の普通席です。TR62が装備されています。TR62Bよりややエッジが丸くなっている気がしないでもありませんが、これは経年と使用頻度の長さに起因するとも取れるので何とも言えません。

700系の座席は小糸工業・天龍工業・シロキ工業・東海交通機械が分け合いで納入しているようです。昔のようにどれがどれ、といった目に見える差が見えない辺りはさすがと言えるでしょう…というのも昔の200系新幹線時代、ダブルデッカーグリーン席の納入メーカーが小糸工業と天龍工業で1：1だったようなのですが、同一規格ながらかなり見た目が異なると言う"珍事"があったためです。この辺は別稿に譲ります。

3人掛のTR75です。微妙な所ですが、このシリーズの座席ではB席はともかくとしてA・C・D・E席部分については着座重心がそれぞれやや外向きにできているように思えます。席の真ん中に座っているつもりでも、何となく外向きに身体を振った方がしっくりするのは気のせいでしょうか。

現在、絶賛量産中(?)のグループに採用されている2人掛席のTR62Bです。ヘッドレスト上に、何とも奇妙な形(というかキノコそのもの… ^^; )の手摺りがあります。余程通路側にはみ出させたくない&あまり在来図面を弄りたくない(だろうね…)で、これ。

ワタシみたいな素人目にはかなり奇異に映ってしまいます。座り心地ですが…硬いですよね、当たり前かも知れませんが…。座面奥が少々下がり気味になっているのは気のせいでしょうか?臀部のホールディングがやや向上しているかも知れません。

こちら、3人掛席のTR75B。同様に通路側には「キノコ」が付いております(笑)。その他、メーカーレベルの差異かも知れませんが、背面の網袋の深さが深くなっているように思えます。

量産車のグリーン席はTR39A(ただしC1はTR39)となっています。ソデ体、フレームに300系を感じますが、座席自体はかなり進化していると感じます。

テーブルについては、定番のシートバックテーブルが復活し、インアームテーブルについてもアームレストカバーが開いたときに窓キセのテーブルに引っ掛からないようなギリギリの寸法で据え付けられています…逆に言えばグリーンでも腕に干渉してしまうわけです…こらこら。

んで、手摺り付きのTR39Bです。手摺りが付いただけで、それ以外に大差はありませんねぇ…。