東海道本線のサロは昔からそのバラエティで注目を浴び続けていますが、この211系も座席的には非常に興味深いものが多くあります。

サロ210/211のいわゆる「平屋サロ」です。サロ110-1200を211系ナイズするとこんな感じになる、と言う作例とも言えます。車内は明るい色遣いと大きく開放的な窓で非常に軽快な印象を受けます。

その一方で、天井部分も空調吹出口をスリットで統一し、視覚的な連続性も持っています。窓は固定が基本となっていますが、両端と中央の3カ所は換気のために下降窓になっています。

R54と呼ばれる回転油圧リクライニングシートが970mmピッチで並べられています。折角なので(?)同年に登場した100系の普通席、R53を装備すれば良かったモノですが、センターアームレスト・背面テーブルが無く、サロ110-1200直属の後継のような座席設備となっています。

背面にはいかにも「ここにテーブルが入ります」と言う趣の窪みがあるだけに更にその気持ちは強かったです。座席自体はかなり柔らかめのクッションで、実のところの座り心地はそう大したものではありません。

首都圏では座席脚台に丸みの残ったタイプは減少傾向(というか、激減)にあります。その姿を撮り留めておくのも悪くないのですが、撮るのは私くらいなものでしょうね… ^^;。

2002年11月末、サロ211-3にて突如改座が施工されました。座席がR54からR55Hに類したR55Jに改座されています。ヘッドレスト通路側に黒い手摺りが、センターアームレストと背面大形テーブルが付いたことで座席周りのユーティリティは向上しました。

座り心地についてはR55Hと殆ど違いがありません。極端な話、185系の普通席と同じです(シートピッチこそ60mm広いですが…)。

R55Jを横から見てみるとこんな感じです。上のR54と比べると、全体的に華奢な上にエッジの立ったライン取りを感じます。

それまでのサロ210/211は窓キセを使ったテーブルも貧弱でしたが、これなら観光需要にも対応できそうです。ささやかながらセンターアームレストも付いたことで、隣席とのプライバシー性も向上しています。

しかし、それまでのライトグリーンのモケット色に際だつ黒い手摺り…アクセントはありますが、カラーバランスとしては…何だかねぇ…。

ドア戸袋直前の区画は、戸袋窓の関係でテーブル(に類する機能)が無いために、兼ねてから折り畳み式のテーブルがありました。今回の改座でどうなるか心配だったのですが、ちゃんと残っていました。

座席脚台部分を見ると、以前の大形脚台の跡がうっすらと残っているのが判ります。こうしてみると脚台はかなりコンパクトになったことが実感できます。

211系は後に着席定員のアップを期してダブルデッカーのグリーン車が増備されました。113系にも連結されていますが、ここではそれらをひとくくりに紹介してしまいます。

同車こそ近郊形のダブルデッカー車両の始祖とも言うべきで、後に215系・E217系まで細部や製造方法の違いはあれど、基本的な間取りや設備が引き継がれています。

この頃は、2階席にスポット空調と読書灯のユニットが付けられていました。

回転油圧リクライニングシートのR61です。座席中央部に回転用のレバーがあるのは183系DX編成の指定席部分に同じです。

東海道サロは朝晩を中心に旺盛な需要にも支えられ、使用頻度も比較的高めです。そのせいか、最近は回転機構にガタの入っている車両が多くなってしまいました。

こちら階下席です。2階席は紫ベースのモケットでしたが、1階席と階下席は黄色ベースになっています。座席自体はR61まんまですが、階下席は何故かスポット空調のみ、1階席に至っては荷物棚こそありますがその手の付帯設備はありません。

その格差は一体、何を以て行ったのか…未だに謎です。

東海道で一定の成果を上げたダブルデッカーは横須賀線の113系にも連結されました。その車両の2階席がこちらです。モケット以外での際はほぼ皆無と言っても差し支えないでしょう。

その1階席。グレーの座席色がちょっとスマートです。左側には横須賀線サロのトレードマーク、荷物スペースが見えています。

少し前からですが、JR東日本の座席色が単色モケットから柄の入ったものへ移行してきた時期がありました。そのころ工場に検査で入った際にでも施工されたのでしょうか、以前のモケットからガラリと雰囲気が変わっています。

車内だけではその出自が判りづらいですが、座布団下、台ワク上の部分を見ると以前のモケットがそのまま残されています。頭隠してナントヤラというわけではありませんが、やるなら最後までやりましょうよ…。

階下席です。やはり座布団下に以前の座席モケットが残されています…う〜ん。