215系電車 最終確認時期:2002年5月

着席定員のアップを期して堂々のオールダブルデッカーで登場したのが215系です。一頃は湘南ライナーと東京毎時40分発の快速「アクティー」専従とし、思い出したように中央本線の臨時列車に入るという働きでしたが、湘南新宿ライン開通を期にそちらにメインを移した運用が主となりました。

やっぱり、東京の異常混雑には勝てなかったのですかね…?しかし、このコアラ然としたお顔は何と言って良いやら…。そういえば、5両の増結編成は…出ないでしょうね…もう。

車内は例外なくクロスシートとなっており、その輸送力は半端ではありません。ノーマルデッキ部分もドアギリギリまでボックスシートが配置されています。ボックス間ピッチ1500mm、座席はTGVなどの座席で有名なコンパン社パテントのフレームです。

座席自体はレカロシート然としており、見た目はスポーティに見えますが、肝心の着座ゾーンを見ると結構垂直な造りになっているのが判ります。ボックスシートでバケット形状を志向するとこのような形になってしまうんでしょうね。個人的には腰椎部分の膨らみがもう少し有った方が良かったと思います。何せ、お尻をしっかり入れると上半身がちょい前にせってしまうんですよね…これ。

8号車など、トイレ設備がある車両の近くには車椅子対応エリアが確保されており、その隣の席は1人掛席になっています。

1号車・10号車のノーマルデッキ部分はそのほかの車両とちょっと雰囲気を異にしています。パッと見て判るように、座席の形状が違います。これもコンパン社のパテント品なのでしょうか…アームレスト辺りはヨーロッパの近郊形で見られる、と言われればそう不自然でもないフレームですが…。

当該号車のボックスシートです。一見、座面がもの凄く垂れ下がっているように見えますが、その実、実際に座るゾーン部分は一般的なボックスシートの形状と差はありません。強いて言えば、今までのボックスシートでは、座布団の先端部分の張りが強すぎるきらいがありましたが、この座席はその先端部分を落とし気味にしています。

そのため、結構自然に着座できるようになっています。難点を上げるとすれば、どうにも詰物がヘタリ気味でちょっとクッション性が萎えている、ということでしょうか。

その優先席部分です。優先席で使われているモケットを「これでもか!」と言わんばかりに張ってアピールしています。還暦を迎えた人の赤いチャンチャンコじゃないんですから…(笑)。

普通車のダブルデッキ部分、2階席です。車両限界一杯に取られたため、屋根の丸みを感じます。空調は座席上にダクトを仕込んでおり、細いスリットから出ています。夏は少々パワーが不足気味になるような気がします。ご参考までに。

荷棚は海外の列車では一般的ですが、枕木方向に出ている部分を使います。少々容積に難があるので、特に問題がなければ座席下も有効活用しましょう。

こちら階下席です。天井が低めになっています。通路と座席部分にはわずかながら段差がありますので、要注意。

初めてこの車両に乗る人は2階席ですが、慣れてくると落ち着いた雰囲気とささやかな欲望の可能性に掛て(笑)、こちらを選択する人も多いようです。

2階席のボックスシートです。基本的なスペックはノーマルデッキ部分の冒頭のボックス席と同じです。よく見ると、肘掛の後ろ、背ズリの間に繋がりそうで繋がっていない棒があります。

これ、傘やステッキを掛るためのスペース。かつて、修学旅行用電車の初期ボックス席にも肘掛の間に傘を入れるスペースがあったのですが、こちらの方がスマートですね。機能美の典型例。

JRは車体が大きいのでさほど露骨でもありませんが、ガラスの上の方は湾曲しているので乗り物酔いの気がある人はあまり見つめない方が吉かも知れません。

グリーン席、ノーマルデッキの全景です。普通車のビビッドを志向したカラーリングと打って変わり、グレーをベースとして落ち着いた配色になっています。

2階席の全景です。車両の屋根の形が良く判ります。各座席にはスポット空調と読書灯がセットされています。荷物棚は特に無いので、あまり大きいモノは持ち込めませんね…。

階下席です。113系・211系のダブルデッカーサロでは、階下席は何故か読書灯が省略されていましたが、215系ではしっかりスポット空調と読書灯のユニットが備わっています。

ちなみに、後継のE217系では今度は2階席の読書灯が端折られ、階下席はスポット空調も読書灯も備わっています。この辺、利用実態に合わせた設備配置の適正化の流れでしょうね…でも読書灯くらいケチらずに付けろや…。

デッキ部分にはカード式の公衆電話(普通車にも2カ所)があります。しかし、携帯電話が普及した昨今、あまり使われている様子は無さそうです。

グリーン席のR61です。シートピッチ970mm、東海道2階建てサロ登場以来の伝統的な座席になりました。初期のバージョンより詰物がR55Hのような雰囲気に近くなり、各部のエッジもしっかり立った物になっています。

こちら2階席。快速「アクティー」がメインだった時代、グリーン席も常時混雑の様相を呈しており、ここに座れるのは文字通りの「熱海観光勝ち組(笑)」でした。窓枠がアームレストとほぼ同じ高さにあるので、スピード以上の迫力があります。

そして階下席。窓際席は車両の裾絞りのあおりで少々狭いかも知れません。座席脚台の部分には蹴込みが付けられており、パッと見た目よりは多少広く使うことができます。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2不詳1500mm(ボックス間)
グリーン2R61970mm