253系電車 最終確認時期:2004年7月

「鳴り物入りで登場」とはこの列車のコトを指すのかもしれません。成田空港の第2ターミナルビルオープンに併せて京成電鉄と同時にJR東日本が乗り入れを果たした「成田エクスプレス(N'EX)」(と113系快速…当時)です。

堂々A特急料金、全車指定席、割引券類一切設定無し(後に設定)…と並み居る「千葉」の特急とは一線を画しての設定となりました。

3両〜6両を単位として、大船・横浜・大宮・高尾と多彩な始発駅パターンを組み合わせての運用は、競合するリムジンバスと輸送戦争を演じています…が、価格と運転本数で京成・ドアツードアの利便性でバスに水を空けられ、総輸送量では奮いませんね…JR。

普通席はここしばらくの新製特急車の流れを断ち切り、換算シートピッチ1020mm相当の方向固定ボックスタイプロマンスシートを採用しました。フランスはコンパン社製の軽量座席を使用しています。

登場当初、デザイナーは導入経緯として「海外列車のセンスに合わせることで、日本人の国際化をイメージしてみました(超意訳)」とのことですが、開放席+リクライニング無し+方向固定ボックスシートって言えば…西欧でも大した列車(≠クラス)ではあまり見られません。NEXを庶民的なゲタ電に育てるのならいざ知らず(笑)。

この辺、なんか典型的なイメージ先行・現実と2次関数的乖離カーブを描いてしまってます。ああ、折角のコンパン社座席なのにねぇ…イメージ落としてるよねぇ…とは偽らざる本音です。誉められるのは赤と黒の色遣いの妙だけかもしれません。

こうしてみるとピンと来ますが、JR九州787系セミコンパート席とほぼ同じ座席(と言うか同じ…)です。

ボックス間に設置されているテーブルですが、非常に静電気を誘発する素材となっており、冬場の乗車ではスリルとサスペンスに彩られた車内になります。何せ揺れる車内で帯電した体を押さえるにはどこを掴みますって…手摺りは金属ですよ…怖いですねぇ。

背面はこんな感じ、座席の間が空いているのはここにスーツケースなどを収納できるための工夫です。斜め上に見えますが、普通席にして読書灯とスポット空調が設置されているのはバブルの残り火の他何者でもありません。

そのうち掲載しますが、サッカーW杯向けの輸送力増強で登場した5次増備車からはそんなもの、バッサリ消えています。在来車についてもリニューアル工事が一部施工されていますが、それらの車両についても読書灯とスポット空調はバッサリ切られています。

アームレスト部分はサイド・センター共に跳ね上げできるようになっています。いや…タダそれだけですが、乗り降りには多少メリットがあるんでしょうね。

さて、以前のオールボックス配置は相当に評判が悪かったのか、200番台増備車投入以後、写真のような集団見合い配置に座席の向きが変えられています。

写真は喫煙車につき、天井通路部分に空気清浄機もドンと張り出しています。

方向変更後のコンパン社製座席。センターアームレストが新幹線E2系普通席のソレと同じ形状のモノに取り替えられました。

あえて灰色でシートバックテーブルも設置されています。これは畳み忘れ防止、と言う背景もあるんでしょうね。

ドアデッキと客室の間には戸袋部分を活用して荷物棚があります。仕切扉の内側に設置することで、荷物を利用者の目に届くところに置くようにしたのは良いことであると思います。

4段式(実質3段)で積載量に不安はありませんが、荷物を固定するバーを見ると…ガムテープで補修しています。日本の玄関口を代表する(つもり?)列車にしてこれはあまりに恥ずかしすぎますね。高い特急料金払ってこのようなブザマな光景を見に来たのではないのですが…。

客室側にカメラを振ってみました。壁に「座席下にも荷物が置けます」とステッカーが貼ってあります。

デッキ仕切扉です。客室内は勿論、入口デッキ部分も間接照明になっていますが、落ち着いたを通り越してマジ暗い、って奴ですね。イヤ、ホント。

N'EXは当初、全車禁煙で登場していますが、2003年3月のダイヤ改正から一部喫煙車が設定されました。まぁ、京成スカイライナーについても喫煙車ってそこそこ需要があるのは事実ですが…。こういう部分こそ国際的な潮流に合わせるのがスジではないかと思いますけどね、こういうところは現実的になれるんですね(笑)。

各車両のデッキ部分には当初から灰皿がありましたが、これは元々はホームで吸っていたタバコを消すためのもの、故にデッキ部分には空気清浄機なども付いていません。しかし、ここが事実上の喫煙スペースに堕してしまったのは運用側の見通しの甘さの他何者でもありません。

撮り忘れていたので、これが車いす対応1人席。現在、在来普通車は座席の向きが集団見合い型向きを変えられていますが、この席だけこのままになっています。車いすの取り回しスペースが絡んでいるモノと見られますが…。

さて、グリーン席に入っていきます。まずはパターン1とも言える1人掛配置のグリーン開放室です。デフォルトで進行方向に対し、斜めでセットされています。シートピッチ1090mmのデメリットを補っているとも言えます。

一部通販に至っての触れ込みでは、伝説の名車「クロ151」以来とか言っていますが、いくら何でもそれはクロ151に対して失礼極まりありません。

荷物を自分で棚に置かせる1等車って何でしょう?

人的サービスの1つもない1等車って何でしょう?

自動ドアがまともに動作しない1等車って何でしょう?

床にゴミが散乱している1等車って何でしょう?

え?海外の空港アクセス列車もこんなモンだ?いや、価格が違いますって…幾らだと思います?

現在、JR東日本ではグリーン料金の値下げを行っていますが、他社線へ乗り入れる列車とこの成田エクスプレスだけは安売りしていません。前者は兎も角、これを値下げしないとは東海道新幹線の昨今の料金政策以上になかなかおめでたい感覚に思われます。

1人掛座席は小糸工業製の独自仕様です。JALビジネスクラスに採用されたスカイラックスシートに似ていると言う声もありますが、言われてみると色遣い辺りは否定できないところは多々あります。

ソデ体横に付いている取手のような窪みは、座席回転を手動で行えるようにするためのレバーです。だって…いちいち回転ペダル踏んだりするのイヤでしょ?

でもね…パーラーカーなら、こんなトコロまで腕下ろさなくても…手元で操作できたんですよね〜どうせパーラーカーを志向していたならその辺まで見習ってよねぇ、とは両方の座席を操作した者の弁。

こちらが全展開時の状態。乗車時間が短いこともあるのか、インアームテーブルは小さめ、通路に遠慮してかリクライニング角度は少なめです。

座り心地についてはなかなか重厚ですが、メンテの弱さがモロ出しになっているのが泣き所であり、私の書き方が厳しくなるところでもあります。まず回転機構のあおりで台座がグラグラです。ポイント通過どころか、通常の直線走行時でも座席が激しく揺られます。座席自体も背ずりとバックシェルの間が思いっきり浮き上がってしまい、醜い状況を晒しています。

荷物棚はハットラック(航空機的に言えばオーバーヘッドストウェッジ)式になっていますが、これがまたデカイ&重い…。収納時に下で受ける部分にはモケットが貼られて収納時のショックを低減させるようになっているのは良いのですが…なぁ〜んか汚れて見苦しい気がします。素材の点で要検討、と言うところです。

こちら、タイプ2と言えた変則1&2配列席。100番台として区別されていましたが、2003年秋現時点で開放室部分は普通席改座完了となり、現存しません。

1人用座席ですが、こちらは斜め固定はできないようになっています、あくまでも進行方向がデフォルト、と言うことです。

先程のタイプ1よりずいぶん前後がスッキリしているように見えるのはその通りでして、シートピッチ実に1340mm…JR東日本の定期列車ベースでは、個室を除くとSVOを凌いで超弩級ピッチといえるでしょう。

その全展開状態。この1人掛席もご多分に漏れず、左右の立て付けがおかしくなっており既にガタガタでした。

程なく、この車両も改座のために工場へ入ったと言うところからして、最悪の時期を見てしまったと言うことなのでしょうが…。

2人掛席、ピッチと座席横幅の重量感が相まって貫禄を見せます。しかし、変則1&2ってのが、実際はどのくらい効用が合ったのかははなはだ疑問です。その後の増備車や改造編成からは消え去ったところを見ると、既にコンセプトの破綻を自ら証したようなものですが…。

左右1列の0番台で想定されていた利用フォーメーションです。新婚旅行なんかでありがちな置き方ですが、実際にやってみると、これは足もと狭すぎです。

デッキ仕切扉部分です。左側の壁に現在走行位置のインジケータが見えます。八王子からの路線図にも準備工事らしき跡が見えますが、果たして高尾発着便が設定されたので実現したと言って差し支えないのでしょう。

個室部分です。一説にはシロキ工業が手掛た(らしい)電動リクライニングシートが据え付けられています。

しかし座席後ろのミラーって、いったい何のために設置したんでしょうか?面積も位置づけも中途半端でいまいち判りません。ラブホテルじゃあるまいに…。

頭上にはハットラック荷物棚があります。窓上にはLED表示装置、通路側の窓ガラスは透明度を調整できるスモークドハーフミラーがセットされている(無駄に)豪華仕様です。

グリーン個室は完全密室(笑)とまで行きませんが、プライバシー性という観点からは個室として体を成しています。通路側に面したこのウィンドウにも秘密が…。

窓の脇にあるスイッチをパチン!と入れると、何とスモークドハーフミラーに早変わり。

JR九州885系運転台後ろにも同様の仕込み(あちらはいろんな意味の「中継防止」の為)があります。実車採用はNEXの方が早いのに現物を拝めたのはこちらが後…(笑)。

この個室、面白いのはデッキ側のこのウィンドウ下部にはファンが設置されています。回転数が少なめで、見ているとなかなかホヨホヨした感じです。換気補助用でしょうか?

サッカーW杯来客に備えてNEXは車両増備(200番台)が行われました。在来車についても、リフレッシュを図るため200番台と同じような改造を受けて出場しています。

目に付くところでは、全列が1&2の3アブレスト配置となり、荷物棚がハットラックから普通の「棚」に取り替えられています。照明自体も半間接照明に実質的なグレードダウン(まぁ、今までが暗すぎだったから丁度釣り合い?)しています。

1人掛席です。シートピッチは以前のまま(怒!)、改座を行っています。E3系新幹線のG席をそのまま載せたように見えますが、それは早計というモノ。有効座面幅は500mmと、かつて登載されていた座席と同等に確保されているオリジナル品です。E3系のそれよりキチンと広くなってる部分はエライ。

台座が1本足になったので、ヒーターを回転台座にくっつける形で設置しています。フットレストを下ろせば、丁度足が照射面になる感じ。その他、ニョキッとしたヘッドレスト上の手すりがイイ味を出しています。

リクライニングさせてテーブルを展開するとこんな感じ。窓側に小テーブルがあり、インアームテーブルはありません。

フットレストはE3のそれと異なって跳ね上げ式に。そりゃぁ、これっぽっちのピッチで固定式にしたらブーブーに文句の嵐…。

一般的な2人掛席。こうしてみるとよく判るリクライニング量のセコさ。え?乗車時間が短いから良いだろうって?グリーン料金だって分不相応に高いんですから(嘲)。

しかし、さすがに何とかしたいと踏んだか、2005年12月から個室・開放席ともに料金の値下げを行うことになりましたね。ようやく、と言う感がしますが、冷静に見ると新料金(2000円均一)ってそれでも一般的なグリーン席の倍額…。ちなみに、新宿〜成田空港間が96.6km、それ以内の品川・東京発の立場って…。

例外席もチェック。2列席のうち室内両端列は、出入口との関係があるようで1人掛席となっています。その前の列はテーブルレスとなってしまうのでここだけインアームテーブルが仕込まれた席となります。

都合、この車内には3種類の座席が存在することに…。

車両選択に戻る>>
座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1不明1020mm
普通2不明1020mm
グリーン(基本配列)1不明1090mm
グリーン(基本配列)2不明1090mm
グリーン(変則配列)1不明1340mm
グリーン(変則配列)2不明1340mm