485系電車(秋田/新潟地区グリーン車) 最終確認時期:2015年06月

既に過去帳入りの設備ですが、JR東日本の半室グリーン席と言えば「たざわ」号改造が、その始祖に当たります。

チョイ昔(1999年頃)の同車両グリーン席。鮮やかな紫が軽やかさと豪華さを兼ねてて良いかも、と思わされます。

元々普通席だった部分に、無理繰り改造で設置した上、改造があった頃、各地で「第1次シートピッチ見直し運動」のようなムーブメントがあり、床面のかさ上げと共にシートピッチが1210mmと従来より+50mm大きめに取られています。

この寸法、後の「はつかり」改座などでも受け継がれていたのですから、なかなか重みのある数値ではないかと。

その後、表地の交換があり、引退前まではこんな感じ。モケットが普通車同様に、上沼垂リフレッシュっぽいタイプに改められています。

座り心地ですが、幾分バケット調の改造が施されており、そのバウンス感と相まって実はなかなか侮れないものでした。惜しむらくは、背面のちょっと寸詰まり気味な高さがそのまんま、ということでしょうか。

普通車との仕切壁部分にはフットレストユニット。設備的な整合性を取るためか、壁面にはテーブルの類は全くありません。この割り切りが凄い。

国鉄で言う特急・急行グリーン席では、壁面席は足まわりが少々窮屈になってしまう対価か、収納式のテーブルが席毎にセッティングされています。

室内全景で見えていたあの設備、そう、家庭用クーラー。

冷房装置が足りないのか、それとも効きが悪いのか、今となっては謎ですが(3000番台のその気があるので恐らく後者)、見かけ上もの凄くシュールです。別稿ですが、JR西日本のマイテ49も同様の冷房装置を設置していますが、あちらは壁面に上手に隠していますね。

また、車番によって微妙にパイプやら付け位置やらが異なっているというクラフトマンシップとオーダーメード感覚溢れる設備と言えましょう。

上沼垂のグリーン席はDX改造車や「はくたか」に入れられていた3000番台のような1両まるまるのサロを除くと、2&2・1210mmピッチの半室グリーン席が基本となっています。

逆に言えばその原則さえ守れば「グリーン席(だった)」なら載ればイイ、回転すればイイ、リクライニングすればイイ…という刹那的な車両も見受けられます。普通の人にとっては(新しい)当たり席が来れば良いのですが、客目線では堂々のハズレ席も存在します。

そのような時は、普通車より余計料金を払っているだけにダメージもさらに倍(笑)。

全景を反対側から。普通席との仕切は、自動ドアによってなされています。

照明などは普通席と切り分ける訳にはいかなかったようで、上端や窓側から向こう側がチラリチラリ。

末期には、シート表地が上沼垂配色に改められた編成もあります。パッと見で、普通席との差異がこれまた余計付きづらいという…。

残存したR27については、房総地区の183系や元・新前橋所属の185系に施工されたリフレッシュと同様の改造を受けています。ソデ体の小テーブルが撤去され、シートバックテーブルが設置され、背ズリが若干嵩上げされ、横幅も広げられてソデ体上に被さる形状という4ポイントが象徴的です。

フットレストや、座面のリクライニング連動などは、ユーティリティ的に悪くないのですが、現実的にはやはり経年的に無理がありすぎるように思えます。

そして、ここにも上沼垂カオスの魔の手。

座席背後にある壁面フットレストに注目。土足面にシート表地と同じものを貼っちゃうダメなパターン。これだと土足禁止と混同して、使う側が混乱するんですね。

もちろん、この角度・この面が土足禁止面ならそれで良いのですが、そんな訳無いですよね。

同じ部分のパーツでもっと酷いの(笑)。

床敷物とも、座席表地とも違うカラーパターンの布を貼るというまさに暴挙。

どーせいちゅーねん。

同じ車両の運転席側仕切部分で。裏面はちゃんとシート表地と同じ色に…なってねぇし。

この壁面のフットレストJR東海300系のTR37Aや、東日本583系のグリーン席で見られたパーツでもアリマス。

青函トンネル開業当初の「はつかり」で、函館行運用によく入っていたパターンのグリーン席です。一部は2002年12月のダイヤ改正で「あいづ」に投入されたとのことです。

1210mmピッチで改座されており、全般的に広々としています。新規設計の座席でして、座面幅が新幹線のR31にあと10mmと言うところまで迫っているなど、当時の設備概念からすれば、かなり努力したんじゃないかな、と思う座席です。

付帯設備として、インアームテーブルとシートバックテーブルが備わっており、様々な利用形態に対応できます。フットレストは角度固定式になっており、裏面反転すると土足禁止側が出ます。センターアームレストにはオーディオユニットが奢られており、音楽はグリーン室の運転席側にあるラックに組み込まれていたユニットから流されていました。

そのほか、「はつかり」当時は車端(運転台側)に大形TVモニタもあって、ビデオ番組が流されていました(但し、登場初期の話…)。2&2配列とは言え、相当に充実したユーティリティは、折からのアコモデーションインフレの中にあって、青函連絡の重責を体現したものと言えたでしょう。

上沼垂に残った側は、このような感じでモケットの張り替えなどが行われました。

基本的にはあまり変わってないのですが、座面下のフレーム部分に昔のモケットが残っています。オーディオユニットも撤去・封印されていますね。

フットレストは先述の通り角度固定式となっており、壁面設置のものは、ヒーターカバーを上手くかわした設置になっている芸の細かさや。

そして、夢の跡といった趣のオーディオ設備を格納していたラック。

撮影当時は、機器類は撤去され、ラックだけががらんどうで置かれていました。撤去するのも面倒臭いということか…(苦笑)。


Photo:キー

1000番台が長躯大阪までの「雷鳥」や「白鳥」で活躍していた頃、グリーン車は1両まるまるのサロが基本でした。

対象編成は、車内は183系「あずさ」DX編成とほぼ同一のグレードアップ改造がなされており、グリーン車については1&2配列で座席が並んでいます。

3000番台の項で出しておりますが、上沼垂DX編成のヒジョーに特徴ある一面が、このR7Aから始まった「斜め固定」。JR九州の787系グリーン席(トップキャビン:すでに過去帳)など、ごく一部で細々と装備されている機能であります。今だと、八戸線の「リゾートうみねこ(元:きらきらみちのく)」の1人掛席等々。

この機能は、設置当初「沿線に広がる日本海を眺めるため」だったのですが、1人掛(C席)は肝心の新潟〜大阪間では見事に山側を向くことになります。琵琶湖を延々眺められるのが良いのかどうか、と言う議論はさておくとして、本来の青森〜大阪間の「白鳥」として運用していた時期がもっとも意義を持っていたことになります。


Photo:キー

Photo:キー

2人掛席のR37Aです。モケットの色遣いを除けば183系「あずさ」DXと同様の改造であることがよく判ります。

フットレストは少々クセのある使い方となっており、基本的に靴を脱いだ土足禁止側オンリー、跳ね上がった状態がデフォルトで、ペダルを踏みながら高さを下げる形になります。

リクライニングした状態を見ると判るのですが、背面に連動し、座面も引き込まれるように若干沈み込むようになっています。単なるリクライニングは、得てして臀部が前にずれてしまうのですが、この沈み込みによってボディホールディングが向上し、安定した着座が得られるようになっています。

これをさらにブラッシュアップしたのがJR東海のTR41/42やJR西日本のWRK249/251というわけで、設計メーカーも小糸工業(KIHD・コイト電工)ですし、アイディアというか設計に通じるものを感じずに居られません。

車端部です。通路側は少々難儀なポジションですが、1人当たりの専有面積としては、従来のグリーンのレベルからズバ抜けたモノとなっており、これが「白鳥」として運用されていた間に大阪→青森をやってみたかったなぁと思った次第であります。


Photo:キー

さて、上沼垂は独自発注というか独自仕様というか、「なんじゃそれ?」みたいな座席が居ることでも知られていました。

全国でもここだけ、と言う独特のアーキテクチャをしたグリーン席がいます。確認されただけで2両に搭載を確認しています。

非常に見慣れぬスタイルの座席です。脚台に特徴があり、JCAS製グリーン席なんですね。フットレストが無い代わりに、レッグレストが有るという、どこかの新幹線グリーン席の習作を予感させます(実際はそんなこと…無い、多分)。

選択したモケットについては、私と性が合わない(と言うことにしておきましょう ^^;)のか、今一歩体にしっくり来ません。ヘッドレストの形状やアームレストの形状など、ソファなのかシートなのか「座席」なのかどうにもつかみ所のない不思議な逸品です。座り心地で言えばハズレの部類でしょうね。

上の写真がイマイチ気にくわなかったので、後日、再度撮り直したもの。

レッグレストが上がりきってませんが、これ、ラチェットが壊れてこれ以上上げられなかったんですね…ええ、ええ。

1000番台としては割と末期になりますが、先述したR27や、上のJCASオリジナルをわざわざ駆逐するために、また改座を受けた車両が居ます。

全景で見ると、中央本線のE257系グリーン席っぽいですよね…。なお、これは登場して間もない頃の撮影。

割と最近、引退前に撮ったモノ。

ヘッドレストピローの垂れ下がりぶりに、座席のヤレというか草臥れの哀愁を感じずに居られません。

これが上沼垂オリジナルの最終形。天龍工業製のYR251。

中央本線のE257のYR149と似ていますが、上から見ればヘッドレスト上端の握り手形状がまず違います。

また、フットレストが中央一本脚だったトリッキーなものから、E2系1000番台のYR152Aに近い形状のものに改められています。ただ、引き下ろした状態で固定できませんでしたが…。

車端・壁面のフットレストを見ると、ラチェットタイプの高さ調節ができるものがコンニチハ。なんだよ、ここは他の区画より機能性が高いやん(笑)。

はて此奴、どっかで見覚えがあるなぁ、と記憶を紐解くと「はくたか」向け3000番台のそれに設置されていたものと同じ。あそこからカッ剥いで持ってきたとしか…思えない。

でも、土足禁止面は上沼垂ブラックの表地になっちゃってますねぇ。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
グリーン2R27改1210mm
グリーン(青函対応改造)2形式不詳1210mm
グリーン1R7A1160mm
グリーン2R37A1160mm
グリーン(レッグレスト付)2形式不詳(JCAS製)1210mm
グリーン2YR251(天龍工業製)1210mm