485系電車(ニューなのはな) 最終確認時期:2016年5月

国鉄・千葉鉄道管理局時代から連綿と続いてきた、同地を主軸としたジョイフルトレイン名「なのはな」。

直流区間専業だった先代165系に代わって就役した2代目「ニューなのはな」、交直両用、お座敷・座席の両刀使い(本来の意味)な仕様は、583系の旅客輸送に特化したものとはまた別のアプローチによる汎用性を持って迎えられました。

車両形式上、全車グリーン車編成ですが、臨時列車で走るときは座席展開による普通車扱いのケースが多かった、比較的庶民派の車両だったと言えたでしょう。

すでに、引退済で過去帳入りの車両ではありますが、思い出代わりにチョイと出してみましたよ、と。

主として房総エリアの臨時快速で運行される際、このように通路を挟んで海側をボックス席、山側をお座敷として運行していたことが多かったように思います。

画像は1号車のもの。

中間の3号車は輸送力上等と言わんばかりの客席主体全景。

天井の照明形状が、この頃に製造されたジョイフルトレインに通じる俵形3連の蛍光灯カバーになっています。また、後述しますが、荷物棚の展開・収納が対照的に理解できまして、座席屋的には非常にありがたいセッティング状態とも言えます。

2号車の全景。

交直両用車両であることと、中央線などの狭小トンネルに対応するパンタグラフ周りが低屋根になるため、主室が少し短めになっており、奥のパンタグラフ側の場所で天井がガクッと段付きになっているのが見えます。

その低屋根部分。

天井が低いためお座敷の設定はなく、片側2ボックスの都合4ボックス区画が、固定クロスシートとなっています。荷棚が固定されており、その高さもなかなかギリギリとなっています。

団体などで貸切にする場合は、休憩スペースや添乗員の区画にでも充てられたんでしょうね。

主として房総エリアの臨時快速で運行される際、一部指定席の表示になっていると、得てして半島側の1両、6号車がこのような座席モードでセッティングされ、自由席として運用されました。

ここだけ見ると、ちょっと昔の急行用車両の風合いが感じ取れますね。後述しますが、シートピッチは桁外れに違うんですが…。

4号車はイベントスペース・フリースペースとなり、各シーズンごとに様々な装飾やイベントが行われます。撮影はGWだったので、こどもの日を当て込み、車内でドーンとフルサイズの鯉のぼりが架けられておりました。

お座敷運用時は、この中央の通路部分にテーブルがセットされ、床面には敷物が敷かれ、掘り炬燵調のセッティングになります。

座席モードの際、ボックス間ピッチ1800mmでクロスシートが展開されます。

また、窓下には窓側席のアームレストを意図したくり抜き形成部分と、東武鉄道もビックリの大型折りたたみテーブルがあり、グループや家族で使うのにピッタリの設定です。

座面は標準的なクッション性を持った座ブトンとなっています。背ズリはランバーからショルダーまでのラインは非常に良好な形状をしており、しっかり食い付くようなフィッティングも文句を言う気にはなれないのですが、悲しいかな、お座敷モードに組み込む寸法上の制約で、ヘッドレストに至る部分がわずかに寸足らずでした。

ヘッドレスト部分があと5cm程度上方にあれば、という惜しさも相半ばします。メーカープレート等は特にありませんが、シロキ工業製のようです。

通路側アームレストは跳ね上げできるようになっており、また、窓側のテーブルもお座敷モードへの背ズリ収納の関係で壁面側のユニットにピタッと収められるようになっています。

この組み付けとユニット、また窓側のくり抜きも併せて、見れば見るほどエロさを醸し出すカーブや成形が施されており、よく考えらてるなと感心させられます。

ボックス間ピッチは1800mmと583系や419系にあと100mmという迫り方をしているものの、背ズリの接合部には、お座敷時の畳面がある関係で、相応の強度を持つ必要もあってかぶ厚めです。そのため、実質的なボックス幅はもう少し差し引かれるので、東北地区の701系ボックス改造車よりは広さを感じられないきらいはあります。

2号車の固定ボックス区画です。座ブトンから上は、他の席と同様のパーツを使っていますが、脚台部分のカバー形状が異なっています。

こちらも、アームレストとテーブルは動くようになってます。

ボックス席が連続する眺め、首都圏ではかなりレアな光景になってしまいましたね。

反対側、こちらはいわゆるお座敷面。一面畳なのですが、一般家庭の畳にある柔軟性やクッション性はまるでなく、板面に畳表だけが貼り付けられているという感覚が一番正確ではないかと思うところです。

退屈した子供が、この上ででんぐり返ししたりするのも、臨時列車であるあるな光景でしょうか。

座席と対になることから、畳サイズは必ずしも家庭用のそれとは異なってます。

お座敷展開時の定員は座席モードより割り引かれており、その空間差額がグリーン料金相当ということになるようです。確かに、かねてより一部例外的な運用をする車両を除き、純然たるお座敷運用って、グリーン料金扱いですもんね…。

窓側のテーブルは、お座敷でも使えるようになってます。臨時列車でも、結構これが重宝がられておりました。

さて、お座敷モード時の座席の収納っぷりですが、畳下をみればなんともはや、綺麗に(?)折り込まれて収納されるんですね。

観音開きっぽい金網のカバーは、座席モードの際、内側に折り込まれて座面下のカバーとなります。上手くできてますネ。

車端席のヘッドレストトップの部分は、壁面にそのまま残って固定され、お座敷のふすまのような衝立になります。

これ、通路側を見ての通りで、お座敷モードの際、手すりに類するものがないと何かと困るためか、パイプが掴み棒として組み込まれているのが判ります。

先の座席モードの際も、背面部にチラリと見えてはいましたけど。

お座敷運用の場合、荷棚がぶつかると危ないため、窓上の壁面側にたたみ上げて固定できるようになっています。

化粧板が窓間のそれと色調や模様を合わせてある辺りに、デザイン面の気遣いが感じられます。

乗車時は5月のGWだったので、車内が鯉のぼり一色の装飾でした。お見事。

で、ですね。奥にこれが置いてあるんですけど、トンネル内ではちょっと不気味。

団体用途を想定した車両なので、各車両にはモニタがあり、その裏には通信カラオケ装置も組み込まれてます。

マイクは…と思うと、車内窓間の所々にこのようなマイク用のジャックを組み込んだカバーがあります。

485系をベースとしたこの手のジョイフルトレイン、ドアのデッキが懸案ですが、この車両はスロープが組み込まれてて、高齢者や子供にも優しい仕様ですね。

デッキ部分は、寒色系でまとめられており、華美な装飾もあまり見当たりません。

車内への仕切り扉は、基本的にはこのような素通しのガラスになっています。

ただ、1・6号車の運転台側については、例外的にこのような柄付きの目隠しガラスが使われています。

4号車にはミーティングエリアとして、他と仕切れる小部屋があります。

臨時列車運用では使えたり使えなかったりですが、授乳室や多目的室代わりの用途になっていたそうな。

あとは、使われたのかどうか不明ながら、車販準備室も残っていました。

車内、随所にこのような荷物置場にしては殺風景に過ぎる空間が見当たるのですが、これ、左側には団体使用時のドリンク等を収納する冷蔵ケースが隠されていて、その取り回し用のスペースになってます。

ただ、例外は付きものなのか、6号車ですが、いかにも「この裏、冷蔵庫です」みたいな場所もありまして…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通ボックス不詳(シロキ工業製?)1800mm(ボックス間)