E531系電車 最終確認時期:2007年7月

国鉄時代、通勤五方面作戦という言葉がありました。昭和30〜40年代のいわゆる「高度経済成長」に伴い、首都圏に乗り入れる東海道(横須賀)・東北・中央・総武・常磐の5線の輸送力増強と輸送体系の抜本的な改革が行われた次第。

常磐線は緩行線地下鉄乗入・快速電車設定など、輸送力増強の点から格段のインフラ改善が図られました。それでもなお、(未だに)総武快速線と並んで日本の通勤電車を象徴する超混雑路線の一角を占めているのは事実です。

取手〜藤代間の交直切換が災いし、E501系がチラッと現れてもなお401〜415系の独擅場だったのですが、TXと言う刺激もあったか、ようやっと新世代車両が本格投入されるようになりました。それがE531系、大量在籍の従来車の「追い出し」も兼ねられており、更にグリーン車の連結も決定。首都圏では今後予想される中央線・京葉線向け新型車並みにホットな形式であります。

編成は10両の基本編成と5両の付属編成で最大15両の陣容。うち基本編成の上野方2両・水戸方2両、付属編成の水戸方3両が座席がセミクロス配置になっています。

それ以外の中間車はロングシートに。カラーコードがそれまでのE217〜231系とガラッと異なっています。

クロスシートはいわゆるボックス配置ですが、それまでの座席より相当部分で改良が加えられています。ザッと変わったナ、と思わされる点だけでも…。

1・座面基部のスプリング仕込み化。
2・ヘッドレスト部分の前方張出角度の緩和。
3・ヒーター設置場所および角度の変更。
4・背面の手すりおよび切り欠き角度の変更。
(E231後期投入車と同タイプ)
5・座面モケット張り回し方の変更。
6・アームレストカバー巻き方の変更。

…と、地味にしてかなりなマイナーチェンジが図られているようです。それで居て壁面窓枠下部の銀縁枠の形状がE231初期投入車のようなタイプに戻っているのですから、間違い探しに事欠かないキャラとも言えます。

ロングシートは、1人当たりの横幅が1cm拡大(ボックス席含)されたこともあって、心なしか取り回しに余裕が出ているような「気が」します。車体全体の床面高さが低めになったこともあるためか、最高速度状態ではスムースに横Gを感じることもできます。

ま、いくら言ったところで所詮は209系に源流を辿るしょーもない腰面の座席なので、その着座感に従来の満足感は望むべくもなく…。

運転席直後の部分はドア間隔の絡みで4人掛。常々思いますが、このヒーター、もう少しギリギリまで横に張り出せないモノですかねぇ?ドア開扉で一番寒いのは他でもなく端部の席なのですが…。

ソデ仕切の板についても機能性は十分にアリなのですが、この肩入れスペースのへこみをもう少しギリギリまで出せないものだろうかと思う次第。ココがググッと広がることでロングシート部分の圧迫感はかなり変わります。

実は機能的に最もベストに近いのは武蔵野線205系の風防アクリル板増設タイプ…あれが穏やかに最強であると唱えてみます。

優先席は車端席の一部が該当します。吊革の設置高さが他より低くなっていることも特徴と言えます。

反対側の車椅子スペース。吊革が無情な高さで設置されているのがアリアリ(笑)。

さて、この吊革ですが見た目のカラーもさることながら何だか思い切った形状です。E993系ACトレインでこれと似た吊革が試験されていましたが、あちらは強度の関係からボツったようで、結局従来品と同等の支持ポイントから吊すタイプになりました。

吊革を垂らす支持棒が下まで降りてこないので結果的に車内見付がスッキリしてきます。

荷物棚はそれまでの金網やパイプからスリット入りの板(アルミ)に…これもE993系で色んな形状を用いて試していましたね。スリットは他でもなく荷物を載せていることが下から見えるように…JR九州チックですこと。

昼は兎も角ですが、夜はちょっと暗い車内になってしまっていると思われます。いくら化粧板が白系統とはいえ…。

ドアは半自動ボタンも付いたリニア駆動の典型的なタイプ。LED情報表示装置も2段式になっていますね。ドア上部中央には開扉ランプも見えます。

ドアステップと扉の端部には黄色のマークサインがなされています。これまたE993系で験されていたバリアフリーデザインの一環。リニア駆動タイプはドア開閉が結構ガチャガチャとうるさいですね、これは要改善を期待します。

そして車椅子対応のトイレ。やっぱり、ボタン位置がちょっと高い位置にあるように思えるのですが…。

ボタン自体はちょっと小さめ、まぁ常磐線の混雑っぷりですから、大きいボタンでうっかり「開」が押される悲劇を考えると宜なるかな。

2007年3月から本格的なグリーン車運用が開始されました。車両の基本的な構成はE231系と変わりませんが、後発らしく微妙に細部が異なっています。

ただ、パッと見て全景については殆ど、その差違を見ることは難しいですね。画像は2階席になります。

こちら、階下席。やはり見た目に、E231系のそれと見分けるのは至難です。

1階席、扉の向こうはトイレ・洗面所・車販準備室です。

ここで、微妙な違いが見えています。E231系では、この扉は外向き折戸だったのですが、E531系からタッチセンサーによる自動引戸に改められました。有効通路幅も拡大するので、これはファインな改良であると思います。

2階席は、今まで通り寒色系のモケットとなっています。リクライニングなどはガス圧高め基調、座席の基本構造は変わらず、長時間の着座では幾分かの鬱血感がなきにしもあらずではあります。

荷物棚が1階席以外には存在しないグリーン席にして、傘の処理について意見が多かったのか、シートバックのドリンクホルダー反対側に傘立て(ステッキ入れ、ならなかなかハイカラですが)を想定したゴムバンドが増設されています。

階下席も、これまた今までと同じです。故に、窓側の足元が少々狭々しいのも変わりません。ここだけは、車両断面上、限界もあるのでしょうが何とかならないものですかねぇ。

1階席もこれまたあまり変わり映えしません。自動ドア側については、開閉時の視覚的な感覚が変わりましたね。

あえて言えば車販準備室のカギ、アレの施錠音が思ったより大きいわ耳障りな音だわ…と良いものではありません。駅ごとに出すわ入れるわする関係で、あの直後の列は少々覚悟する必要があるかも。

デッキ部分についても、基本的な間取りに変化は見られません。

階段部、この辺も大きく変えようがないため、ここだけ見せられると違いがわからない感じもしますが…スポットライトが電球ではなくLEDになっているのが変化です。

埋込形のライトも同じく。複数のLEDライトを灯具に収納し、レンズをはめ込んだ(直射光を覗き込んでも構わないように?)タイプになっています。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2形式不詳1500mm(ボックス間)
グリーン2YR215(天龍工業製)970mm
グリーン2形式付番無(小糸工業製)970mm