883系電車(リニューアル車) 最終確認時期:2008年4月

登場時、ワンダーランドエクスプレスとして耳目を集めた型破りデザイン車両ですが、先般よりリニューアルが進行していました。白ソニックに対抗するように艶の強いブルー一色での登場です。

車内も、配色などが座席単体から車内全体でのコーディネートに移り変わっているように思えます。写真は撮影当時の5号車、ハットラック荷物棚〜天井までは純白、木目の床で真ん中を彩度の高いカラーで突き抜ける三層のデザインが目を引きます。

JR九州の車両と言えば、いわゆる「水戸岡デザイン」が知られたところですが、登場当時のそれと比べると少しトーンが落ち着いた方向に向いてきているように思えます。或る意味、カラーリング的には熟成と取れるのでしょうか?

画像のような位置に立つと、水玉模様膳とした視覚感受から、面的なライン引きを志向したように見えます。

先頭車後ろ半分の指定席区画です。こちらは座席カラーも何とも鮮やかな配色になっていますが、天井と床下の配色は同じであることが判ります。

座席単品を見てみましょう。いくつかカラーリングパターンがあるので、全部紹介し切れているか不安ですが(笑)。

モケット部分をディーパスなブルーに、ヘッドレストを黒くしています。通路側のショルダー部に出ているコントローラの如き手摺りも木のグリップに改められました。握りやすい、と言うのもありますが、座席回転時の作業で握り動作にロスが出づらくなっていると思います。

次のパターン。少しくすんだ黄緑に艶めかしい茶紫のヘッドレストの組み合わせです。ヘッドレストの裏側から通路にかけてのカーブの形状、この色だからこそ感じるエロティックさが見えます(苦笑)。

ヘッドレスト単品であれば、うん、アズキだよね、アズキ。

もう一個、座席色はほぼ同じながら、ヘッドレストの色が違います。色そのものが弱い上に、アクセントが無いので、九州にしてはさっぱりした印象を受ける座席になってしまいました。

手摺りとカラーリング以外では、特に変更点がないのですが、一方で、神懸かり的なフィッティングのランバー部分から座面部分も健在です。極端なオーバーサイズでなければ、お尻のサイズにかかわらず、かなり優れたフィッティングなんですよねぇ。

1号車半室普通席部分。座席本体部分は朱を強めにした赤、ヘッドレストは艶のあるもう少し派手目の赤の組み合わせです。この区画に限って普通席でもAC100Vコンセントが利用できます。そう言えば、この座席だけ、カーテンの柄が異なっています。

窓の框部分、今までは特に内装パネル上、何もなかったのですが、木製の薄いテーブルが増設されています。ドリンク向けの受け皿らしき造形もあるのですが、カーテンを閉じると、使えなくなってしまう仇。さりとて、横方向に出し過ぎると座席と干渉したり、客のショルダーラインとぶつかってしまうので難しいですね。

車椅子対応ブロック。1人掛です。ちょっと寸詰まり気味のアームレストは、腕の長さ次第で少々文句があるかも知れません。

全展開の構図。アームレストも跳ね上がるのですが、跳ね上げるとリクライニングがキャンセルされる機構になっているのでこのまま撮影。

この区画、やけにシートピッチが広い印象を受けます。ここ、元ボックスシート区画なのですが、取り払われて一般席に配置を改められています。

該当する車両の場合、5〜7番席がこの配置の影響を受けますが、ご存じの通り(?)ソニックは小倉で方向が変わるので、どちらにも広いのは6番席になるでしょうか。ピッチは、実測値で1290〜1300mm程度、一般席に隣接する多少狭い方でも1180〜1200mm程度となっており、前後幅だけで見ればグリーン席より広くなっています。

勿論、窓割りは弄れなかったので、いずれの配置でも、車窓が少々遠い位置に来ています。

こちら、その色違いのパターン。何て言うか、シートバックテーブルをどう使えと言うつもりなのでしょうか…。飛行機なら、うっかり誰かが横切りそうです。

床面にはこのようなロゴデザインが押し焼きされています。

グリーン席も、リニューアルの対象となりました。化粧板が明るくなったことと、床面のカーペットの風合いが変わったことで、座席色がやや明るくなったにもかかわらず、コントラストが上と下で以前より強くハッキリするように思えます。

2人掛席、座席カラーは、以前の艶黒から少し彩度を落とした茶色となり、テカテカした感じが薄れています。大きな改造ポイントは特になく、やはり通路側のグリップが木製のそれに取り替えられた程度です。

シートバックテーブルなどは以前と変わらず、かつては車内ドリンクサービスでカップを受けるためにサイズが合わされたアームレスト先端のドリンクホルダーもそのまま残っています。所々、塗装が剥げて、地の色が見えているのは…。

1人掛も先に挙げた改造箇所以外では大きなポイントは見つかりません。当初の車両と比べて変わった点を強いて挙げると、カーテンが変わったこと(普通席部分も同様のカーテンであることから、1号車のみこの模様)、窓框にテーブル向けの台が後付けされたこと程度でしょうか。

そうそう、AC100Vコンセントも増設されていましたね。2人掛席にもありますが、1口しかないので、早い者勝ち(実質的には窓側専用か…)です。

全展開の図。革特有の滑りは残っていますが、885系の破綻した座席に比べたら天地の差。こちらの方が充分くつろげます。スーツの折ジワなんかを考えれば、こちらの方が良いのかも知れません。

ヘッドレスト降誕部分中央には、チケットホルダーが増設されています。ただ、車掌がピックアップしてまた戻す動作をするときに、前席の人のアタマに当たりそうな位置なんですよねぇ。もう少し、下にポケットを浅め(お客の側に券が向くように)付けてもよかったかも。

先頭部分にはコモンスペースが健在です。私が乗ったときは、さすがに普通席からなだれ込んでくる人は居ませんでしたが、そもそもここはグリーン券を持つ客のためのスペースです。

こちらは、カート折り返しなどを兼ねたいわば「踊り場」。

普通席出入口は、以前とあまり雰囲気が変わっていません。そもそも、この内壁、スゴイお金がかかっているそうで…。

マルチスペースも、登場当時の使い方から遠く離れ、車内誌の在庫置場にされていました。ちょっと切ない使われ方です。

こういう部分も、ちょっと所在なさげですねぇ。携帯電話で通話するときなど、丁度イイ使われ方はしているようです。

さて、アコモデーションでも、私はあまりトイレを撮る趣味はありません。そう言う意味で、鉄道ピクトリアル誌の特集「列車トイレ」に写真資料を提供されている皆さんを尊敬している側。

1号車トイレは、車椅子対応かつベビーベッド付の多目的トイレです。そして、その中は…病院もビックリの白づくめ、使われ方はともかく清潔感全開です。なお、撮影の関係でストロボを炊いており、余計白く見えますが、実際はダイクロビームや、スポット電球で柔らかな室内です。

ベビーベッドは、照明の下に収納されています。座席ヘッドレストと同じカバーがスゴイなぁ、と。

盲点と言えば、最近流行の乳幼児のためのベビーシート(親が用を足すときに子供を座らせておく方)が見あたりませんでした。ベビーベッドを展開しているときは、通常の便器が使えません…あれ?

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通1付番無し1000mm
普通2付番無し1000mm
普通(元ボックス区画)2付番無し1180〜1200mm
普通(元ボックス区画)2付番無し1290〜1300mm
グリーン1付番無し1200mm
グリーン2付番無し1200mm