5000系電車 最終確認時期:2004年11月

初代マリンライナー213系、普通車はオール転換クロスシート・グリーン車も瀬戸大橋の眺めを楽しむためとはいえ、普通列車としてクラスを突き抜けた豪華仕様で知られました。

しかし、ラッシュ時の2ドア、普通指定席は昨今のアコモデーションレベル(但、西日本・四国レートに基づく…笑)としては少々物足りない、グリーン車が潮風による経年劣化を迎えた等々、様々な理由があったにせよ新型車両と置き換えられることになりました。

置き換え後の車両は5000系、普通車はJR西日本213系5000番台と同等のスペックを備え、グリーン+普通指定席合造車のダブルデッカーが先頭に連結されています。

投入車両番号によって、2階席・階下席窓下のカラーリングが異なっています。一方、普通車はJR西日本のアーバンネットワークカラーを纏っています。

車端には岡山の象徴とも取れる「桃太郎」のイラストレリーフが付いています。

普通車とグリーン・指定席合造車の車体断面がやっつけ仕事的に異なっていますが…見なかったことに…。

こんなの(殴)と並んでしまいました。どう見ても寝不足のコンビです。

普通自由席車内全景。223系2000番台のそれと基本的な見付は全く一緒です。優先席ステッカーまでバッチリと。

座席は910mmピッチで転換クロスシートが並んでいます。座席は東洋シート製と見られますが、残念ながらメーカーは確定していません。

223系2000番台とほぼ同じ座席となっており、転換動作自体はかなり軽くできあがっています。座面が少々固めにできているのは仕方ないところでしょうか?

優先席の区画。転換席とドア際固定席で背ズリ角度が異なっているのがよく判ります。

車端ボックス区画。やはり貫通扉側の席がわずかに狭くなっているのは111系以来の妙な伝統です。いや、開口部の関係でこうしないとマズイというのは理解できますが…。

ドア戸袋部分にはジャンプシートも忘れずにセット済み。

先頭車端は最近のJR車両定番の配置、岡山側に向けて左側が車椅子スペース。

右側が大形トイレです。

今回、大きな変化となったのがグリーン席と普通指定席の処遇です。関東では非常に見慣れたダブルデッカーベース車に形容しがたい運転台(兼お顔)を付け、1両2役を担っています。

こちらは運転台側の入口、車椅子対応ではないので少々狭めです。

階段途中にはスペースを使ったプチギャラリーが…。

チラリとしか見えないのが恐縮ですが、グリーン席側となる上がり階段にはカーペットが貼られています。アプローチ段階で判るこの格差構造(笑)。

取りあえず普通指定席側から。普通指定席は1階トイレ側と階下席になっています。このノーマルデッキ部分トイレ側、1人掛席×2と言うことでそのゆったり感の期待から隠れ当たり席としてご指名予約もある人気席です。

いざ座ってみると、その隣の妙なスカスカに精神的不安を覚える方は清く正しき小市民の証。

大形トイレ逆サイドの1人掛席は車椅子スペースを見込んだ空間と続きになっています。岡山行きの場合、眼前の壁は遠く、しかもその壁は男子小用トイレの壁…。

かかる現状をして別の意味で嘆きの壁とも取れなくはありません。無論、わずかの差額でこれだけの空間を占められるのですから文句を言ってはイケマセン(笑)。

座席はJR東日本の最近の特急車で定番となったタイプです。

リクライニング角度も少々控えめになっています。

階下席に入って行きます。一般的に普通指定席を利用するには普通乗車券(回数乗車券・一部の企画券)+座席指定券となっています。定期券で利用できないのは「ムーンライトながら」で周知の人も多いのでは、と思われます。

しかし、マリンライナーについては、213系時代の不入りを教訓に(殴)、通勤客を視野に普通指定席で定期券利用OKとなりました。高松・岡山双方でささやかな増収の途になっているようです。

ダブルデッカー部分は荷物棚が設置できないので、車端部に堂々2段式の荷物棚が設置されています。あくまでも普通席、と言うことであればJR東日本215系の如き枕木方向荷物棚を頭上にずらっと並べてみても悪くないように思えるのですが…やはり階上の座席重量が絡んでいるのでしょうか…?> 尤も、215系のそれは照明環境や空調がそのお陰(?)で犠牲となった面は否定できません…。

荷物棚を斜めから見るとこんな感じ。壁上にLED情報表示装置、荷物棚にはマリンライナーのロゴが光ります。

後述のグリーン席と基本的な仕様は同一です。

普通席全景です。階下席特有の天井の圧迫感は仕方ないところでしょうか。座席のカラーがブルー系とピンク系で分かれていますが、これも一見ランダムに見えて中央部分から左右が反転しているのが判ります。

だから何?と言われても困りますが、まぁメンテナンス時には参考になることでしょう。

座席自体はJR東日本の新系列座席とほぼ同等の座席です。フレーム的にはE257系普通席のソデ体をほぼ流用、と言っても差し支えはありません。リクライニング角度はやや抑えめ、背面テーブルはありません。あまり用をなさない網ポケットとヘッドレスト後にあるコートフック(帽子掛)がアクセントと言えばアクセントです。

ヘッドレスト上端には最近はやりの手摺りとして、JR西日本風味の"ヒラタケ"を銀色に彩色して設置しています。厳密に言えば、頸部の短尺さとか握り手部分の面積的に別種と言えば別種です。学会への発見報告が待たれるところです(冗)。

それでは、グリーン席へ。2階席も階下席同様に荷物棚が無いので、このように岡山側に荷物棚が設置されています。普通席と異なるのは普通席のそれが片列1カ所に引き替え、グリーン席は両側2カ所となっている点。地味にアメニティ分が高めなのはせめてもの格差構造ですね。

もう1枚。棚自体は全く同一品ですが、床のカーペット色が異なっています。先の車体写真でブルー系のカラーをした床面が上のそれ、赤系の車体がこの写真のようになります。

ブルー系グリーン席全景。2&2でパッと見ると関東近郊普通列車グリーン席のそれと非常に似た光景が展開されます。異なると言えば、読書灯・スポット空調・Suicaカードリーダが無い辺り(笑)。

もっと言えば、空調はJR東日本E231タイプではなく、E217以前のスタイルに近いようです。

ブルー系グリーン席。元々このタイプの車両が想定しているシートピッチは970mm、そこに1000mmで座席を配置しているのですから、座席が岡山側(座席番号が大きくなる)につれてだんだん窓枠からズレていきます…。中には窓枠によって眺望が思いっきり殺されている悲惨なブロックも…マリンライナーの名と沽券に関わる由々しき事態と思われますが…。

座席は小糸工業製、普通指定席同様のフレームですが、座面・背面形状はそれなりに奢られ、普通席との差別化が図られています。象徴的なのはヘッドレスト部分のふくらみですね。背面テーブルもあり、リクライニング角度も大きめに取られている辺りはささやかな工夫でしょうか。

しかし、かつてのグリーン席が1300mmの超弩級座席だったことを知っている身からすれば、バリューダウンは否めません。

赤系グリーン席全景。カラーイメージこそあれど、九州の如きド原色を持ってこない(少しくすませてある)のは落ち着きのグリーン席というアピールでしょうか。アクセントという点でこちらの方がちょっとカッコイイかな?

座席単品です。上のブルー系と比べると判るのが、カーペットと背ズリ中央の色違い。そういえば、グリーン席も普通乗車券の他、定期券についてはグリーン券のプラスだけで利用できるようになりました。

掛心地ですが、固め基調の普通席に比べると少し毛が立ち上がり、ふわっとした表地になっていることと、ヘッドレスト部分が張り上がっているお陰で幾分かは楽です。しかし、先代座席イメージが矢印で示せば、体を外向きムードでゆったり座るそれだったのに対し、両側から内向きに座る感じに着座感ベクトルが変わってしまったのは残念です。

デッキを挟んで運転席後にはこのような特等席が1列4席セットされています。ここはマルスシステムでも別口座扱いとなっており、窓口で「マリンライナー・パノラマ席」と頼まないと出てきません。

こうしてみるとよく判りますが、画像左の運転席側は運転席による眺望のハンディをハイデッキ化によってカバーしています。

ハイデッキ側(A・B席)。窓枠とA席のアームレストがほぼ同等の高さとなっており、瀬戸大橋を渡る時はワイドな眺望が楽しめます。

このパノラマ席だけ、座席が2階席のものと異なり、JR東日本「リゾートしらかみ(ブナ編成)」やリニューアル後の251系「SVO」普通席と同様のフレームをしています。

ノーマルデッキ側(C・D席)、窓枠とアームレストの間がかなり開いています。こっちの方が人気薄に見えますが、照明がスポット照明によるムードもあり、隠れオススメ席となります。

瀬戸大橋を駆け抜ける区間、暗闇を突き抜けるライト・時々浮かび上がる信号標識・等間隔で去りゆく照明灯…そのちょっと近未来に幻想的な光景は夜、高松行きC席限定で楽しめる光景です。

A・B席だとちょっと運転席の行路表などの手元照明が鬱陶しいんですよね…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(自由席)2不詳(東洋シート製?)910mm
普通(指定席)1不詳(小糸工業製)970mm
普通(指定席)2不詳(小糸工業製)970mm
グリーン2不詳(小糸工業製)1000mm