419系電車 最終確認時期:2007年3月

国鉄末期、全国規模の白紙ダイヤ改正が幾度か行われています。それらを経て、全国各地では路線活性化の手段として短編成列車による頻発運転(フリークエンシーダイヤ)が導入されました。しかし、それまでの長大編成政策の為、列車そのものや先頭車が極端に不足する地域もありました。

特急・急行用車両など整理統合も重なり、余剰車両の有効活用が検討されました。その結果、九州・北陸地区では、初代寝台特急電車を近郊形電車に改造する工事が積極的に推進されました。その結果が、このお顔…素敵すぎます。文字通り「食パン」でありますが、賞味期限は迫っている様子。お召し上がりは重機よりお早めに。

勿論、従来のフェイスも残っています。というか、先の食パンと対になる編成が多かったように思いますが、必ずしもそうは行っていない模様。何より、この非客室面積の多さをひしと感じるデザイン、堪えられません。

東は直江津から西は敦賀・米原まで、比較的長距離の運用には良く入っていたように思います。

新快速の敦賀延伸後、ちょうどイイ感じのカーブを描くホームに順光でストンと停まる図。手前の停車位置目標標識がアレですが…。

特急顔、ちょっと異端なタイプもありました。腐食とすきま風対策と言われていますが、前面の貫通扉が封鎖され、トレインマーク用だった窓も潰されている編成がいます。

判っちゃいても、やはり、今まで鎮座していたパーツが居なくなるとこれまた何ともおマヌケ顔になってしまいます。尤も、九州の485系のように貫通扉レール(非貫通タイプでもステップや握り手、あるいは飾りとして)をサッパリ全撤去したアレに比べればまだマシ…。

そもそも、定員利用が前提の(昼夜兼用形とはいえ)寝台特急車両で通してきた車内、これを近郊形として通勤輸送まで賄わそうと言うのだから、その発想には今でも驚かざるを得ません。

折戸と吊革、ロングシートという、極めて反物質同士のようなパーツが渾然一体と調和する車内、これこそが419系たる所以、と根拠不明な納得感を得られる要素なのでしょう。

反対側から撮ってみれば、長めのロングシートから向こう側に広がるボックス席へのアプローチ。車両限界一杯まで拡がったその車内でプラネタリウムでも、と不謹慎な思いを新たにさせます。

色使いについては白色系の化粧板に暖色系モケットで軽やかなのです。しかし、これはストロボに対するカラー反応でして、実際は照明が災いし、仄暗さのエロスと、冬の日本海を眺めながら自分を考えさせられる空気感に彩られます。

これが419系にして、憧れの(豪華)クロスシートです。特急として現役だった頃、これですら特急料金が取れたのです。

確かに現在のクロスシート相場と比較しても格段に広いですけどね(横幅1000mm、ボックス間ピッチ1900mm)。窓側のアームレストは就寝時にぶつからないように壁面に潜り込むような構造になっています。特急運用の時代は、窓が2重窓で中にはベネシアンブラインドが入っていましたが、今は通常の窓になり、遮光もカーテンになっています。

その一方、それまでトイレ以外は全固定窓で運用されてきた車両だけに、換気などの配慮から一部がユニット窓に差し替えられたボックスも存在します。そのような窓は普通のロールカーテンになっています。どっちがお好みかは座った人にお任せします。

上のレギュラーなタイプのボックス席とも共通し、フレームは極めて頑丈・堅牢に造られており、列車の揺れでヘタに身体が激突するとこちら側がけがをしてしまいそうです。元々、安心して寝られるようにと言う考え方で、ベッドにできる構造だけにその辺の安心感というモノは極めて大きいと言えますね。

ロングシートは、同線を併走する近郊形と大差のない造作になっています。優先席も、例のモケットパターンでバッチリ。

だた、座席屋として注目したいのは、座席下のヒーターカバー。JR東日本管内の近郊形座席などでは、全検やリフレッシュを受けると、この部分が真っ先にステンレスカバーなどで無機質な風合いになってしまうのですが、この形式では割と塗りカバーが残されています。

座席色と相まって、イイ風合いではないかと感じています。

ドアに至っては堂々ステップが残り、バリアフリーなんのそのといった設えです。ドアは特急時代のまんまの折戸、車内引込のタイプなので、ラッシュ時のスリリングさはちょっとしたものと思い至る今日この頃。

車両の老朽交換という理由の他、これなんかも作用してるんでしょうね。

食パン運転台の後ろ、車体断面が凄く判りやすい場所です。そして、運転台機器との兼ね合いか、微妙にセンターからズレた乗務員用の出入りドアがチャーミング。

クロスシート部上段には、収納式のベッドがそのまま格納されている編成もあります。この詰物の間で増えに増えたダニーさんの動向が大変注目される今日この頃、とも思ったのですが、さすがに布団はちゃんと撤去されている由。

一時期、改造が不十分だった頃、このベッドが展開できてしまい…という伝説もあったそうですが、今は開かないように固定されているとのことです。

元、洗面台のあった場所。スッキリした立席スペースと化しています。右上の小窓が、元々の設えを語りかける物寂しさを際立たせます。

車端部にはトイレが2つ(うち1つは業務用として閉鎖)と、撤去された洗面台の跡が立席スペースとして残っています。寝台列車だっただけにトイレも洗面台も数が通常の車両より多かったですよね。

元々、非客室面積が大きめのこの形式にして、中間車にもトラップ&トラップ。ドアから入ると、客室の前に関所のごとく空調その他機器類を収めたユニットが鎮座しています。

右上に、空調操作用の出力ボタンが見えますね…勿論、よい子は弄っちゃダメ。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2不明1900mm(ボックス間)