智頭急行HOT7000系 最終確認時期:2004年5月

特急車両には淡め・パステルトーンな車体塗色の多いJR西日本エリアで、鮮烈な赤(ピンク)と青の原色をまとった智頭急行のエース車両、HOT7000系。そのインパクトは結構なものと言えます。

普通車内です。半間接照明と大きめの窓が明るい車内を実現しています。外と引きかえ、車内は落ち着いた配色となっています。車端部には最近の特急列車に通じるLED情報表示装置類の表示盤があります。

普通席です。背ズリこそ厚め基調ですが、それ以外は新幹線100系に取り付けられたR53Bに酷似(というかフレームはほぼ同一でしょう)した座席となっています。980mmピッチにして折り畳みフットレストが取り付けられています。利用の有無は全く好みの問題になるでしょう。

ヘッドレスト部に手摺りが取り付けられ、智頭急線内でぐりゃんぐりゃんの振子動作時やその他局面でも安心して車内を通行できるということは挙げられます。着座している側も通行者にヘッドレストを押さえられる気まずさ・不愉快をかけないという点で良い設備です。あと注目するほどではありませんが、テーブルの厚みがやや厚めに作られています。だから何?と言われても困りますが…。

2002年度から、普通席のモケットが鮮やかなカラフルな柄に変更されています。これがその変更座席。詰物や座り心地に直結した差異はありませんが、見た目が北近畿タンゴ鉄道のタンゴエクスプローラーじみてきたような…。

2002年秋、待望の(?)増備車両が投入されました。座席については187系気動車・683系普通席に準じたデザインのJR西日本テクノスJTC44475形が装備されました。それでいて、在来車に倣いフットレストが跳ね上げ式ながら増設されています。

写真では気づきませんが、座席のサイズが従来のものよりワンサイズ(殊にシートバック部分)大きくなり、掛心地は固め基調ながら全体的にボディホールディング性能が向上しています。しかしまぁ、背面テーブルの関係とは言え、凄い形状をしていることが上の写真と見比べると判りますね。

貫通先頭車の運転台直後にはS席と呼ばれる固定クロスシートによるボックスシート区画の備わっている場合があります。運転台へのアプローチスペースの関係か、2&1配列になっています。先頭車は喫煙車となっており、残念なことに少々タバコ臭いのが難点と言えば難点…。

写真はその1人掛区画になります。

その2人掛区画…。

流行るべくして流行った「スーパーはくと」は今も慢性的な混雑を呈しています。1997年、慢性的な混雑緩和と多くの希望を受けてグリーン席と普通席の合造車が登場しています。これがその室内です。ワインレッドをベースカラーとした壁面に大型の座席がズラリと並んでいます。座席色はワインレッドとモスグリーン系統の2色あります。

振子動作で荷物がこぼれないことと、視覚上の高級感を引き立たせる設備としてハットラック荷物棚が挙げられます。その上、間接照明による柔らかな照明空間はゆとりの時間を約束されたものといえるでしょう。

京都から終点の倉吉まで延々乗るとグリーン料金は結構なモノになりますが、取材当日は普通席・グリーン席ともに満員御礼となりました。おそろしっ!

1人掛席です。シートピッチは最早グリーン席標準の感すらある1160mm。座席のフォルムにやはり新幹線100系のR35Aの影を重ねてしまいます。着座感ですが、とにかく重厚、適度に自己主張されたバケット形状でボディホールドにも問題ありません。

荷物棚下から読書灯が設えられており、間接照明下での読書も問題ありません。オーディオユニットはエアチューブ式となっており、前席の網ポケットにイヤホンが備えられています。この辺、JR北海道の列車っぽいものがあります。

こちらはインアームテーブルとシートバックテーブルを出してみました。小さな工夫ですが、フットレストの土足禁止側(裏面)はシートモケットの真ん中と同じ色の布地を貼って、ここが土足禁止であることを黙示しています。このフットレストの使い方一つでグリーン慣れしている人とそうでない人が思いっきり出るわけですが、土足禁止側に靴を乗せるのは一発退場級ですので止めましょう(笑)。

すご〜くどうでも良いことですが、メーカーは天龍工業です。国内鉄道車両シートメーカーとしては小糸工業に次いで有名メーカーですね。

こちら、2人掛席です。深々としたリクライニングが印象的な席となっています。センターアームレストも大型のものが取り付けられており、隣席が全く知らない他人の場合でもプライバシー性は充分保たれるでしょう。ヘッドレストが大きいことでちょっとしたうたた寝も問題ありません。

小さい工夫ですが、シートバックテーブルの上端には上着掛が備わっており、通路側の人だけが妙に気まずい思いをすることはありません。座席周りについては良く練り込まれている、というか必要充分で熟成されていると思います。

これがグリーン系統の室内。今となっては、色も少しボケた感じですが…。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通(初期投入)2不詳(R53B類似)980mm
普通(後期増備)2JTC44475980mm
グリーン1不詳(R6A類似)1160mm
グリーン2不詳(R35A類似)1160mm