京成(新)AE形(Side-E) 最終確認時期:2010年7月

本来の紹介面、いわばA面でいつもの悪口雑言が見られないことに不思議に思って戴いた方、このファイルへのリンクを見つけて戴いたコアな皆様にのみお届けする「Side-E」。いわば暗黒のB面。他の車系についてもひょっとしたら存在しているのかも知れない…。

さて、京成らしからぬカッコよさと、在来線扱い車両にして160km/hでの高速走行など、話題性満載・鳴り物入りで登場した同車。すでに体験された人も相当居るかと思われる。統一されたトーンで形作られた京成ご自慢の特急車両だが、座席については残念なことになってしまった。

まず、座面。座面後端の隆起部分のサイズが大きすぎて、尾てい骨のフィッティングポイントを外してしまっている。このため、臀部全体が前方に滑り出る体勢にいきなり落とし込まれる。さらに、座席表地が比較的滑りやすい素材であることと座面前端にかけての角度が不足していることから、リクライニングの有無とは別に全く落ち着かない座面となってしまっている。

次に背ズリ部分。腰椎部分への張り出し箇所が上側にずれてしまっており、きっちり深く腰掛けたり、リクライニングを効かせてみても、不思議とピタッと来る角度が見つからない(というか無い)。丁度、胃の裏側を押されてしまう感じになってしまい、背ズリに体を合わせるとエビ反りとまでは行かずとも、リクライニングシートとしてはちょっとあり得ない状態になってしまう。この状態で、比較的誇張されたヘッドレストに後頭部が来るように体勢を合わせると、背ズリは三点支持のごときピンポイントな着座となって、いきおい疲れと臀部の鬱血感が酷い。

アームレストは長さが比較的「ケチ」った寸法になっており、しっかり置けるのはシャレ抜きで「肘」まで。窓側席は窓枠と空間干渉してしまって実用性が無くなっており、さらに窓枠に腕を置くと、脇が上がって横に開いてしまう疲れる体勢を強いられることとなる。皮肉にも、通路側席の方がマシな居住性となっており、これから十数時間の国際線機内における窓側席と同じような風合いを地上の列車で強いることも無かろうに…。京成車両の横幅は、JRほど恵まれてないことは承知の上であるが、それでも、こういうセッティングは事前に避けるよう設計ないしデザインがされるべきであったと残念でならない。

高速走行時のグルーブ感や、(思ったより、として)振動の少なさはさすがと唸らされるが、接客設備としての座席は正直なところ、全く誉められない。座った瞬間に「あ、これダメ」と呟いてしまったくらいである。トータルすると、楽に座れるべきリクライニングシートなのに、妙に緊張を強いられる落ち着かない座席であるとも言うことができる。

その他、心配事としては、アルミフレームの座席となっているようなので、静電気が溜まる冬場はこれまたちょいとスリリングな車内になるのではないかと軽く心配してしまう今日この頃である。

160lm/h高速走行を楽しみにする人、時間をお金で買う人以外は、素直にアクセス特急でノホホンといった方が楽だな、と思わされてしまった。

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