西武40000系 最終確認時期:2018年10月

首都圏私鉄で4社(者)直通といえば、京急・都営・京成・北総方面が思いつくのですが、西武・東京メトロ・東急・横浜高速の4社も直通運転をやってましたね。

同線の日中は快速急行Fライナーが幅を効かせていますが、現実なかなかに長駆でして、特急車はアレだけど座席指定車なら商売になると踏んだのか、平日は有楽町線方面からと土休日は横浜方面から座席指定列車「S-TRAIN」が走っています。

京急系のバルーンフェイスをさらに強調した風味の西武40000系が任に就き、それ以外では西武線内の各種運用を中心としてお目に掛かることが多いようです。

同車は関東エリアで東武に続き2例目のL/C車ということで、まずはロングシートモードから。

ドアとの仕切が柄入りながら透明なものになっており、全般的に見通しの良い全景になっています。

ロングモード時の座席単品。それまでの特急座席は小糸工業(コイト電工)と長らくお付き合いしてきていましたが、東武50090系に続いて所謂天龍工業の「デュアルシート」としてYM193を設置しています。1人分の横幅は460mmと、最近の通勤電車の主流となる幅を押さえています。

アームレストは両端とセンターに設置されており、1人分の仕切がハッキリするようになっているのはクロスモードで指定席料金を取るための備えが主眼となりますが、ロングシートモードでも従来車より着席人数が減るところ、定員着席の面では貢献しているかと。

ただですね、ロングシートモードの際、脚台・シートフレームの剛性のなさと回転ロックの甘さについては、東武のYM168と比べても正直進歩ねぇなぁというネガティブ評価を出さざるを得ません。特許で開発先行できておいてこれは何なのよ、的な程度で。

ドア間3脚並びの構図。荷物収納スペースとして両座席間の下にある空間はそれなりに貢献していますが、回転機構が前に競り出る宿命的な配置故、着座姿勢において、従来ならできた座面下のヒーター蹴込みへ足を納められないのは人によってはかなりのダル感を与えてしまうでしょう。

後述しますが、座席形状としてはあまりよろしくないので、なおのことストレスが溜まるように感じています。先に結論を言えば、折角の新車なのにこの座席では勿体ないなぁ、という残念評価。

飯能側先頭車の車椅子スペースに隣り合う位置に、お二人様向けの独立したポジションがあります。

着座感視点での形状評価ですが、何をどう検討してこうなったのか不思議なほどシート各所がゴツゴツ当たる褒められない形状です。座面高さが回転機構に引き摺られて妙に高く、角度も取れていません。

背ズリも全般的に上方向に切り詰められランバーは浮き気味、ショルダーもちょうど肩甲骨が背ズリ握り手下辺りのカーブ成形に当たるもので、比較的多くの人にとっては上半身を点で支えられてしまう苦痛座席と評せざるを得ません。

折角、背ズリの詰物を厚めにして貰っているのに、カーブ形状共々、凄く勿体ない「外し方」をしている座席です。誰やねん、これ設計したの。

車端部は固定ロングシートで、S-TRAIN運用時はココも指定席だそうです。

掛け心地ですが、これも東武50090系と同じパターンでして、ロングシートの方が座り心地が良いという皮肉よ再びか…。

座面高度はこちらの方がL/C座席より10〜15mmほど低めになっており、奥まで座面を使える点と背ズリの角度の食いつきがマシになっている点で、ある程度好意的に評価できます。

ただね…それも比較対象が同車内でという奴でして、京王5000系のそれと比べちゃうと申し訳ないが雲泥の差がついてしまってます。どうして…こうなった…。

ナナメ撮りをしてみると、角度の違いが浮き出てくると思います。

ロングシートの造作で勿体ないのは両端の処理。アームレスト分の幅を何とか絞り出せば良かったのに、方や木目調とはいえ壁面、方や冷ややかなソデ仕切で、ここはケチる所じゃなかったと思うんだけどな。

クロスシートモード。早起きして休日下りの秩父行で撮影してきました(笑)。

座席自体のカラーリングは、通路側の木質握手のお陰で、色は良いアクセントが効いてます。

この車両、空調装置が車両中央にあるので、所謂ラインフロー空調の恩恵を得たい場合は真ん中の区画を外して予約すれば幸せになれます。

クロスシートモード。シートピッチは1000mm相当で確保されており、背面には折りたたみ収納できるドリンクホルダーがあります。AC100Vコンセントが窓側に1つあるので、窓側席だとモバイル機器の充電も不安ありません。通路側からは、位置的にちょっとしんどいですね。

座席脚台の形状のため、窓側席だとあまり足を伸ばして座れないのは難点と言えば難点。また、窓割の関係で無条件で眺めの良い席というのが無いのもイマイチ行楽列車にはなりきれない点か。

ロングシートモードの画像と比べてみると、こちらは天井にデジタルサイネージ装置が設置されており、中吊広告が無くなっています。2編成がコレだそうで。

ドアを前にする区画だと、眺めは効かないわ、足下は東武ほどじゃないけどやはり狭い感はするわで、条件としてはやはりマイナスに傾きます。

せめてもの救いはAC100Vコンセントがナナメ設置になっていて、挿抜がそれなりにしやすい角度だな、という辺りでしょうか。

池袋側先頭車の運転席直後区画はパートナーゾーンと呼ばれ、車椅子の他、子ども連れの利用を想定したフリーというかマルチスペースになっています。

側窓がものすごく大きく取られており、通路中央部には駅ホームで見られるような高めセッティングの簡易腰掛があり、これに車椅子の固定装置がセットになった1ユニットとなっている設えになっています。

飯能側先頭車の方は、あちこちの私鉄でおなじみの形状となった車椅子スペースが用意されています。

途中、所々に車椅子スペース兼ベビーカー向け区画があります。

車椅子固定器具は壁面に設置されており、妻面の妙に盛り上がった場所には急遽使用する場合に備え、車内用車椅子が収納されているそうです。

妻面車内側の上には、プラズマクラスター発生装置も取り付けられています。

座席指定列車として西武秩父まで長駆することを想定し、4号車にはトイレが設置されています。勿論ロングシートモード時でも利用できます。

このため、4号車と5号車間の仕切扉については、扉両端のガラス壁面についてもロックピンを外して幅を広げられるようになっています。5〜10号車に割り当てられた車椅子の人の利用を想定しているのでしょう。

ドアは両脇の握手が木質化されており、框の部分には西武ご自慢のスマイルビジョンが設置されています。また、いつ使うかは不明ですが、半自動ボタンも用意されています。ボタンが有る部分、握手が使いづらいかも。

吊革は最近の西武でおなじみとなった卵形の握りやすさを意識したタイプ。

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座席データ座席クラス掛人数座席形式シートピッチ
普通2YM193(天龍工業製)1000mm