喫茶「羽根田」 最終確認時期:2004年12月

上野・池之端、地下鉄千代田線根津駅直近に独特の存在感を明らかにしている喫茶店があります。その名も「羽根田」。元々、航空機の座席が並んでいるお店でしたが、幾度かの改装を経て鉄道座席も並ぶ店になりました。航空機ファンにはちょっと知られたお店ですが、よく見ると鉄道向けの小道具も色々…とあります。

店内に入ってすぐの区画にリクライニングシートが2脚向かい合わせになっています。こちらはR11またはR12と呼ばれる座席で、日本の「特ロ」向け回転リクライニングシートの始祖となった記念すべき座席です。リクライニング機能も健在、機構的には極めて良好な状態で置かれています。

背面から見てみました。後部カバー部分に小糸工業(小糸製作所)の古いマークが貼られており、その出自が明らかになっています。このころの回転ペダルは座席脚台の横にLの字になってぶら下がっているものです。フットレストも完全な状態で残されており、段区切りの下降・裏面反転共に何の問題もありません。

クッションは経年のためかなり経たってしまっています。営業時は座面の上に座布団とカバーを載せています。表地も痛みが激しかった頃、近くの東京芸大有志の方が修復されたとのことです。そういう意味ではオーナーの意向と極めて幸運な補修を受け、今まで残っているといえます。表地とクッションさえ復元できれば、いつでも博物館の保存対象になりうる極めて希有なケースといえるでしょう。

こちら、一見R21リクライニングシートですが、よく見ると少し違います。収納式のセンターアームレストがあり、さらに収納式のレッグレストがあります。国鉄向けグリーン座席でセンターアームレストといえば新幹線0系のR25までお預けでした。話に依れば、アルゼンチン国鉄への輸出車試作座席だったとか…。

一連の座席写真については、店内ではございますが、喫茶・羽根田様ご厚意とご了解を戴きまして撮影・掲載しております。通常は別途座布団、カバーが掛られており、リクライニングも動きません。念のため。

ご案内
喫茶「羽根田」は、2004年12月16日を以て営業を終了しました。
店内の調度品については、同月中に浅草のギャラリーで展示を行いました。
その後の経過については、また事態が進展したらご報告できる予定(になるといいな)。
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