787系電車(DXグリーン席)(Side-E) 最終確認時期:2007年12月 | |
本来の紹介面、いわばA面でいつもの悪口雑言が見られないことに不思議に思って戴いた方、このファイルへのリンクを見つけて戴いたコアな皆様にのみお届けする「Side-E」。いわば暗黒のB面。他の車系についてもひょっとしたら存在しているのかも知れない…。 大きな空間に広い座席、客室乗務員からの人的サービス付と、スペック上では満艦飾なDXグリーンであるが、その現実たるや、スペース・人的リソースに新幹線全通までの「場つなぎ」の価値をも持ち得なかった、況や新しい価値の提案など皆無、というのが感想である。人的サービスのレベルであれば、1992〜1995年辺りの「つばめ」で展開されていたサービスレベルの方が遙かに行き届き、かつ乗るたびに新鮮な感触を持ったものである。 周辺環境を見てみたらどうか、とすれば、登場当初は一般グリーン席区画との仕切りとして暖簾が掛られていたが、加減速ごとの空気流動で用を成さないことから早々に撤去、結果的に下り方向であればチラチラと落ち着かない空間になってしまったのが痛い。 トップキャビン時代にあった仕切扉は、通路側席に障ることから取り払われたようだが、それならいっそスライドドアにでもして強制的に仕切りを設けるべきであったと悔やまれてならない。この車両に乗るたびに多少は気になっていたのが、運転席直後と言うことで、信号音や機器操作音がかなり「筒抜け」に近い状態であったのだが、この区画ではそれがさらに顕著になってしまうこと。おおよそくつろぎとプライベートを売りとする空間で、乗務員間の雑話やATS鳴動ベル音が飛び込んでくるなど、許されざるものと思うが、どうだろうか。ここはオールスタンディングのライブハウスではないのだが…。 座席を見てみよう。大ぶりな座面・背面に寸法上の不満は見られない。しかし、詰物と段取りの位置が、多くの日本人の体格と合わず、良いフィッティングになっているとは思えない。ヘッドレストリネンなど、リクライニング時は座面が前方に迫り出すので、その分ヘッドレスト下端に多くの後頭部がずれて当たるはずだが、そこにリネンは無い。寸足らずであり、この設備のために検討が成されたとは思いがたい。まず、この辺からしてお手抜き臭が漂う。リクライニングやレッグレストの展開収納は、アームレスト先端の操作ボタンによる全電動となっているが、モーター作動音よりも軋み音が大きいというのは何のブラックユーモアなのだろうか。むろん、私が座らずに座席だけで空動作させても全く同じ。詰まるところ、構造・設計上の問題点である。 座席モケットについては、かの「パーラーカー」で知られたエジプト柄の表地を用いているが、これが現代の最上級座席として往事のカラーと擬えた意図とすれば、それは新手の当て付けとしか写らないのは残念ながら不幸な結果か、悪い冗談と言わざるを得ない。 テーブル等の配置についても同様。まずACコンセントの配置がなってない。壁面にコンセントを設置し、その効用が実感できるのは1人掛席側だけ。2人掛席では、窓側ならケーブルが自分の前を渡り、座席に繋がったテーブル上に置くであろうノートパソコンや携帯電話につなぐこととなる。自分の股上にケーブルを這わせればこそばゆく、下を這わせたらうっかりレッグレストの展開もできない。何の拍子にか踏み込んだ日には目も当てられない結果が待つだろう。荷物台の下に組み付けられたACコンセントを使うにしても何となく心理的抵抗を感じるであろう。885系普通席(2号車)や、N700系新幹線電車グリーン席のように、ここで言えばテーブル先端部に取り付けてしまった方が、操作動線を思えばスマートである。 そのテーブルも、1人掛においては、使わない側の盤面配置の関係で、リクライニング中に肘が当たりやすい。テーブル利用上は適切な位置だとは思うが、固定机としては仇になっているとしか思えない。 決定的なのは、この座席が位置しているのは、台車の真上であるということ。この路線、この形式を数多く使う人であれば感じるはずだが、路盤と車両の相性は決して良いとは言い難い。路盤の怪しいところでは、時折強烈な突き上げ振動がズドンと突き刺さるのだが、この座席ではそれが極めてダイレクトに身体に伝達される。そもそも、台車近くはそれなりに揺れるポジションであり、一般的なグリーン車でも決して上座の扱いではない。 寝台列車でも、一部の展望寝台室を除けば、デッキやトイレなどで両端の空間を使い、上級寝台は車両中央部に寄せられるよう作られるケースが多いのは、何をか況や。フルバケットの形状ではなく、どちらかと言えばベッド的な平面(それなりに左右方向へはカーブが取られているが)にして、左右のみならず上下方向からも振動が襲いかかるあまり良いポジションではないことは、さらに不幸である。 今回、これらを記載するために数回利用してみた結果であるが「デカけりゃイイってモンじゃない」と真っ先に感じざるを得ない。JRとしてのブランドネーム「つばめ」の土台にして、極めてネガティブとした意見を表せざるを得ないことは、大変残念である。費用的な面ではなく、得られるサティスファクション面で、積極的選択へのモチベーションが全く上がらない上級設備というのは今後、二度と出会いたくないと望むばかりである。 | |
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